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【ASCO速報】EGFR遺伝子変異陽性進行非小細胞肺がん ゲフィチニブ奏効時にプラチナ併用化学療法挿入で無増悪生存期間向上の可能性

公開日時 2013/06/05 02:00

上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異を有する進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対する初回治療として、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)・ゲフィチニブ8週間内服、2週間の休薬後シスプラチン+ドセタキセル 3サイクルを挿入、その後再びゲフィチニブの投与を行う治療戦略が、無増悪生存期間(PFS)を向上させる可能性が単施設臨床第2相試験の結果示された。国立がん研究センター中央病院呼吸器内科の神田慎太郎氏らの研究グループが、5月31日から開幕した米国臨床腫瘍学会(ASCO2013)のポスターセッションで、1日発表した。


試験は、EGFR-TKI単剤治療が奏効した時点でプラチナ併用化学療法を挿入して行うことで、EGFR-TKI治療の課題とされる獲得耐性の発現を防ぎ、結果として、より長い無増悪生存が得られるのではないか、という仮説のもとに行われた。


対象は、臨床病期IIIB/IV期または術後再発、EGFR活性型遺伝子変異(エクソン19欠損またはエクソン21 L858R点変異)を有する進行NSCLC症例。登録条件は、前治療歴がなく、ECOG PSが0~2であることなど。試験治療として、ゲフィチニブ(250 mg/日)を1~56日目まで投与し、2週間の休薬後、シスプラチン(80 mg/m2) +ドセタキセル (60 mg/m2)を3サイクル施行した(71日目、92日目、113日目)。そして134日目よりゲフィチニブの投与を再開し、病勢悪化まで継続した。


主要評価項目は、2年無増悪生存割合、副次評価項目は全生存期間(OS)、奏効割合(RR)、病勢コントロール割合(DCR)、有害事象。目標症例数33例のうち11例以上で2年無増悪生存が得られれば有効と判断する設定とした。


患者背景は、女性が63.6%、平均年齢は62歳(中央値)、ECOG PSは0が58.8%、1が41.2%、臨床病期はIIIB期が8.8%、IV期が61.8%、術後再発が29.4%、EGFR遺伝子変異はエクソン19欠損が64.7%だった。追跡期間中央値は36.3カ月だった。


登録症例33例のうち、ゲフィチニブの初回投与を終えたのが31例、化学療法が開始されたのは28例、化学療法中の病勢悪化が3例、ゲフィチニブ再投与が行われたのが25例であった。主要評価項目である2年以上のPFSを達成したのは12例で、予め設定した有効性基準を満たし、試験治療は有効と判断された。


ゲフィチニブの初期治療によるRRは69.7%、DCRは94.0%、併用化学療法によるDCRは89.3%だった。PFS中央値は19.5カ月、1年、2年、3年の無増悪生存割合はそれぞれ67%、40.2%、36.9%であった。1年、2年、3年生存割合はそれぞれ90.6%、71.9%、64.8%であり、生存期間中央値算出にはイベント数が達していなかった。


有害事象(有害事象共通用語基準CTCAE3.0版による評価)は、悪心が22例(グレード1:14例、グレード2:8例)、嘔吐が10例(グレード1:8例、グレード2:2例)、食欲不振(グレード1:13例、グレード2:12例、グレード3:2例)、血清クレアチニン値上昇(グレード1:5例、グレード2:3例)、白血球減少(グレード1:7、グレード2:9、グレード3:8、グレード4:3)、好中球減少(グレード1:4、グレード2:5、グレード3:3、グレード4:14)、脱毛症(グレード1:19例、グレード2:3例)、下痢(グレード1:19例、グレード2:3例)、発疹(グレード1:13例、グレード2:14例、グレード3:1例)、AST上昇(グレード1:3例、グレード3:2例、ALT上昇(グレード1:2例、グレード3:2例、肺臓炎(グレード1:1例)であり、重篤な有害事象は認めなかった。


これらの結果から、研究グループは、ゲフィチニブの治療にプラチナ併用化学療法を挿入する治療方法は、EGFR活性型遺伝子変異を有する進行NSCLC患者のファーストライン治療として有望であると結論づけた。


◎神田氏 無増悪生存割合の向上の可能性示唆


結果を報告した神田氏は、本誌の取材に対し、「EGFR-TKIにより腫瘍量が減少している段階で、プラチナ併用化学療法を行うことは、その化学療法自体の効果も、初期から導入する場合より高める可能性がある。本治療は、現在打開策のない耐性の出現を先延ばしし、生存期間の延長をもたらす可能性がある。」と期待感を示した。
さらに、本試験で得られたPFS中央値19.5カ月と長期無増悪生存割合はきわめて良好であることを強調した。「EGFR変異陽性のNSCLCの初回治療としてEGFR-TKI単剤とプラチナ併用療法とを比較した過去の臨床試験の結果をみても、EGFR-TKIと化学療法をそれぞれ個別に導入した場合の合計よりも無増悪生存期間が良好であった。」と説明。この治療戦略は、「2つの重要な治療の効率的な実施方法である可能性がある。」と強調した。安全性についても、「この治療戦略により有害事象が増強したということはなかった。」と述べ、「EGFR-TKI単剤治療との比較臨床第3相試験の実施を考えていきたい。」とコメントした。

 

 


 

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