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【UEGW事後特集】LAFA 結腸がんへの腹腔鏡下手術 術後の腹壁瘢痕ヘルニアと癒着性小腸閉塞の長期リスク低下の可能性示唆

公開日時 2012/10/28 05:00

結腸がんの腹腔鏡下手術を受けた患者は、開腹手術を受けた患者に比べ、術後の腹壁瘢痕ヘルニアと癒着性小腸閉塞の長期的な発生率が低い可能性が示唆された。結腸がんの入院期間について、切除方法と周術期ケアの手法とで比較検討した無作為化多施設試験「LAFA」のデータを解析した結果から分かった。10月20~24日までオランダ・アムステルダムで開催された、第20回欧州消化器病週間(United European Gastroenterology Week:UEG Week2012)で、22日に開かれたプレナリーセッションで、オランダAcademic Medical CenterのS.A.L. Bartels氏が発表した。 (医学ライター・森永知美)


腹腔鏡下手術と開腹手術との術成績は、これまで実施された無作為化臨床試験の結果から差がみられないとされている。ただ、腹壁瘢痕ヘルニアと癒着性小腸閉塞の長期的発生を有意にどちらの術式でより抑制できるかについては、一貫した結果が得られていない。そこで研究グループは、LAFA試験のデータを解析し、無作為化から2~5年間の腹壁瘢痕ヘルニアと癒着性小腸閉塞の発生率を、腹腔鏡下手術と開腹手術との間で比較した。
LAFA試験は、結腸がん患者400例を対象に、入院期間について、①腹腔鏡下手術と開腹手術②緊急周術期ケアと標準ケア――を2X2の要因試験(factorial design;2つの治療成績を同時に検討)で比較検討した。試験期間は、2005~09年までで、すでに報告された結果から、緊急周術期ケアを伴う腹腔鏡下手術が最適な治療戦略との結果が示されている。



今回解析対象となったのは、開腹手術群191例と腹腔鏡下手術群208例の計399例。年齢は開腹手術群67歳、腹腔鏡下手術群68歳、BMIはそれぞれ26.1、25.7、ASAグレードIまたはIIが71.7%、75.0%で、ベースラインの患者背景に群間差はみられなかった。病理学的な腫瘍の特徴は、ステージIがそれぞれ16.8%、23.6%、ステージIIは32.5%、27.9%、ステージIIIは30.4%、29.3%、粘膜内がん(Tx/T0/Tis)15.7%、14.9%で、両群間に差はみられなかった。



解析の結果、腹壁瘢痕ヘルニアの発生率は、開腹手術群で16.8%だったのに対し、腹腔鏡下手術群では10.1%だった。腹壁瘢痕ヘルニアの手術を要した割合も、開腹手術群の9.4%に対し、腹腔鏡下手術群では6.7%で、腹腔鏡下手術群で低い傾向がみられた。



癒着性小腸閉塞の発生率は、開腹手術群で7.3%、腹腔鏡下手術群で2.4%。癒着剥離術を受けたのは、開腹手術群で3.7%、腹腔鏡下手術群では1.4%で、同様に腹腔鏡下手術群が低い割合であった。
またロジスティック回帰分析の結果、腹壁瘢痕ヘルニアにおける、腹腔鏡下手術に対する開腹手術のオッズ比は2.44(95%CI:1.12 – 5.26、p=0.022)、小腸閉塞のオッズ比は3.7(95%CI:1.07 – 12.50、p=0.038)で、腹腔鏡下手術により、これらのリスクが有意に低くなることが明らかになった。


これらの結果からBartels氏は、「腹腔鏡下手術によって、結腸がんの患者の腹壁瘢痕ヘルニアと癒着性小腸閉塞の発生は有意に抑制される」と結論付けた。
 

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