【AHA特集】RELY-ABLE ダビガトラン長期治療も一貫した有効性・安全性示す
公開日時 2012/11/12 16:45
抗凝固薬・ダビガトランが長期治療を行っても、一貫して脳卒中と大出血の発生リスクが低いことが示された。臨床第3相試験「RE-LY」の患者のうち、治療を継続した患者を対象とした、延長試験「RELY-ABLE」の結果から分かった。11月3~7日まで開かれた米国心臓協会年次学術集会(AHA)2012で、7日に開かれた「Clinical Science:Special Reports」でStuart J.Connolly氏が報告した。(米国・ロサンゼルス 望月英梨)
試験は、RE-LY試験に登録された患者のうち、ダビガトランを継続投与されている患者を対象に、同剤の長期的な有効性、安全性を検討する目的で実施された。
RE-LYに登録されたダビガトラン110mg群(以下、低用量群)6015例、ダビガトラン150mg群(高用量群)6076例のうち、低用量群2914例(86%)、高用量群2937例(87%)が登録された。28カ月以上継続投与を行った症例は、低用量群1082例(44%)、高用量群1104例(44%)だった。平均追跡期間は、2.3年間。
その結果、脳卒中+全身性塞栓症の発生率は、低用量群1.60%/年、高用量群1.46%/年で、両群間に大きな差はみられなかった(ハザード比(HR):0.91、95%CI:0.69-1.20)。これら対象患者について、RE-LYでの投与期間も加えた平均4.25年間の追跡期間で有効性を検討すると、脳卒中+全身性塞栓症の発生率は、高用量群で0.89%/年、低用量群で1.05%/年だった(HR:0.84、0.65-1.09)。2試験でダビガトランを投与された全ての患者1万2091例、平均追跡期間3年について解析すると、主要評価項目の発生率は高用量群で1.25%/年、低用量群で1.54%/年だった(HR:0.81、95%CI:0.66-0.96)。
脳卒中の発生率は高用量群1.24%/年、低用量群1.38%/年(HR:0.92、95%CI:0.66-1.21)で、虚血性は高用量群1.15%/年、低用量群1.24%/年(HR:0.92、95%CI:0.67-1.27)、出血性は高用量群0.13%/年、低用量群0.14%/年で(HR:0.89、95%CI:0.34-2.30)、低率であることも示された。
心筋梗塞の発生率は、高用量群の0.69%/年、低用量群の0.72%/年(HR:0.96、95%CI:0.63-1.45)、肺塞栓は高用量群の0.13%/年、低用量群で0.11%/年で(HR:1.14、95%CI:0.41-3.15)、いずれも大きな差はみられなかった。
一方、大出血は、高用量群3.74%/年、低用量群2.99%/年で(HR:1.26、95%CI:1.04-1.53)で、高用量群で多い傾向がみられた。RE-LYの投与期間を加えた解析(高用量群:2.50%/年、低用量群:2.13%/年、HR:1.18、95%CI:1.00-1.38)、全ての投与患者(高用量群:3.38%/年、低用量群:2.83%/年、HR:1.20、95%CI:1.07-1.35)でも同様の傾向を示した。
頭蓋内出血は高用量群で0.33%/年、低用量群で0.25%/年だった(HR:1.31、95%CI:0.68-2.51)。RE-LYの投与期間を加えた解析(0.33%/年、0.22%/年、HR:1.45、95%CI:0.98-2.16)、全ての投与患者(0.11%/年、0.13%/年、95%CI:0.50-1.64)でも同様の傾向を示した。そのほか、胃腸出血は高用量群で1.54%/年、低用量群で1.56%/年だった(HR:0.99、0.75-1.31)。
全死亡は、高用量群3.02%/年、低用量群3.10%/年(HR:0.97、95%CI:0.80-1.19)、RE-LYの投与期間を加えた解析(1.54%/年、1.58%/年、HR:0.97、95%CI:0.80-1.18)で、大きな差はみられなかった。
結果を報告したConolly氏は、「RE-LYの後に、2.3年間の追加治療を実施しても、脳卒中と大出血の発生率は低いままで、RE-LY試験の結果と一貫していた」と述べた。
【訂正】 下線部について誤りがありました。訂正いたします。(2013年2月12日)