沢井製薬 キョーリンとの経営統合を断念
公開日時 2011/03/02 04:01
沢井製薬は3月1日、キョーリン製薬ホールディングスに持ちかけていた経営統合提案が失効したと発表した。
沢井は昨夏以降、再三にわたってキョーリンに経営統合の打診や追加質問をした。これに対してキョーリンは中長期の国内の後発品事業環境が不透明な状況下に後発品ビジネスに過度に注力することは得策ではないとして提案に賛同できない旨を伝えたほか、追加質問にも「(詳細な説明は)同種事業を営んでいること等に鑑み、適当ではない」と答えていた。
沢井は同提案が2011年2月末まで有効としていたこともあり、この日、「(キョーリンから)本案に賛同しなかった適切な理由の開示がなされなかったことは大変遺憾だが、現時点において、本案に基づく交渉継続は当社にとって有益なものとはならないと判断した」とのコメントを発表し、事実上、キョーリンとの経営統合を断念した。
沢井はこれまでに新薬事業と後発品事業を経営の両輪とする「ハイブリッド型製薬企業」を目指すとして、そのベストパートナーがキョーリンであると強調していた。今回の経営統合を断念した理由について沢井関係者は本誌に、「暖簾に腕押しということ」と話した。今後もキョーリン以外のパートナーとの経営統合を模索していくかどうかについては、「当社の株主価値向上に資する施策に積極的に取り組む」とし、経営統合も1つの選択肢との考えを示した。なお、沢井はキョーリン株を約4.8%保有する第4位の株主とされており、「(キョーリンの)株主価値向上策の推移を見守りたい」ともコメントしている。