直接トロンビン阻害剤ダビガトランの脳卒中の発症抑制効果を検証する多国籍大規模臨床試験「RE-LY(Randomized Evaluation of Long term anticoagulant therapy)」のサブグループ解析結果が15日、アトランタで開催中の第59回米国心臓病学会で発表され、同薬が脳卒中リスクの程度に関係なく、心房細動患者でワルファリンを上回る脳卒中予防効果があることが明らかになった。
RE-LY試験は日本を含む44ヵ国、900施設以上で心房細動患者1万8113人を登録し、ワルファリンを対照薬にダビガトラン110mg1日2回投与と同150mg1日2回の2用量の3群間で最低1年、中央値で2年間追跡して比較した無作為化盲検試験。今回発表されたサブグループ解析は脳卒中リスク評価のCHADS2スコアに基づき、登録患者を低リスク、中等度リスク、高リスクに層別化し、脳卒中と全身性塞栓症の発症率を評価した。
解析結果ではワルファリンを基準とした脳卒中および全身性塞栓症の発症相対リスク(RR)は、ダビガトラン150mg投与患者で低リスク患者群0.62、中等度リスク患者群0.61、高リスク患者群0.70(0.52~0.95)といずれのリスク群でもワルファリンを上回る効果があり、ダビガトラン110mg投与患者のRRでも低リスク患者群1.00、中等度リスク患者群1.04、高リスク患者群0.79とワルファリンとほぼ同等の効果を示していた。
また、ワルファリンでしばしば問題となる出血リスクについては、低リスク患者群での大出血発現に関するRRが150mg投与患者0.73、110mg 投与患者0.67といずれもワルファリンよりもリスクを低下させていた。 今回の結果を発表したスウェーデン・ウプサラ大学病院のヨナス・オルグレン氏は「ダビガトラン150mg1日2回投与は、心房細動患者でそのリスク程度に関わらず脳卒中発症を抑制し、ワルファリンよりも優れた第一選択薬である」との見解を表明している。