米ヒューマン・ゲノミック・サイエンス社(HGS)はこのほど、自己免疫性疾患の全身性エリテマトーデス(SLE)治療薬として開発している抗Bリンパ球刺激因子モノクローナル抗体・Benlystaのフェーズ3結果を公表した。関係者からは、SLE治療薬市場の将来性に注目が集まっている。
試験結果はプラセボ比較対照でBenlystaは8~14%の有効性が高いというやや寂しいものとなった。ただ、過去50年以上新薬が登場せず、ステロイド剤と適応外使用の抗リウマチ薬や抗がん剤しか治療薬がないSLE分野では画期的と捉えられている。
米ループス財団メディカル・ディレクターJoan Merrill氏は、Benlystaのフェーズ2長期継続試験で良好な成績が得られたことを根拠に「Benlystaは少なくとも4年間の非常に良好な忍容性が得られている」と語り、安全性の高さを評価している。SLEは病態が複雑なうえに信頼性の高い疫学データがほとんどないが、米ループス財団推計値では米国内の患者数は約150万人。近年、SLEではBenlysta以外にも複数の治療薬が臨床試験中だが、バイオ医薬品に関する調査機関ディスィジョン・リソーシズ社は11年にも上市が見込まれるBenlystaが最も有望な薬剤とし、これによりSLE治療薬市場は08年の推計値4億2000万ドルから2018年には20億ドル弱まで劇的に拡大するとの見通しを示している。