厚生労働省は２月３日、06年４月から全ての医療機関に領収書の無償発行を義
務づける方針を示した。初・再診料や入院料、指導管理料など項目ごとに保険
点数を記載する形式をとる。しかし、診療行為や検査内容など詳細な医療費の
内容を明記した明細書は患者が希望した場合だけ発行するよう「努力義務」に
とどめ、「患者に医療内容をわかりやすくする」という従来の狙いからは後退
した。

厚労省が同日の中医協に提示した案は、多くの病院が発行する領収書の形式を
採用している。ただ、項目ごとに保険点数を記載したのみで、具体的にどのよ
うな医療行為が行われたのか明記しておらず、患者にはわかりにくい。

領収書発行を巡っては、日本医師会は「無償発行は（システム導入にかかる経
費が発生するなど）診療所にとってかなり負担」と希望した患者だけに限定し
て発行すべきと主張。これに対し健保連などは「一般社会では領収書を無償で
発行するのは当然。詳しい医療行為がわかる明細書を発行すべき」と強調して
いる。２月中旬の診療報酬改定の答申に向け、綱引きが加速する。