服薬忘れた患者“守る”観点から1日2回投与を推奨 (2/2)
公開日時 2012/08/03 05:00
TIA早期発見、早期治療に向けて
画像診断の活用で早期診断、早期治療を
一過性脳虚血発作(TIA)は2009年に、新たに「局所の脳、脊髄、網膜の虚血により生じる一過性神経学的機能障害で、脳梗塞を伴っていないもの」と定義づけられ、時間の区切りがなくなりました。発症後早期は、脳卒中発作を起こす確率が高くなるためです。
ですから、症状を見つけたら、すぐに救急疾患として取り扱い、可能な限り早く検査を行い、治療に結びつけることが重要です。早ければ早いほど、ベネフィットも大きいのです。
例えば、心臓発作だと分からなくても、症状があれば、119番で救急車を呼び、循環器専門医は心電図をとり、処置を開始します。新たなコンセプトである“ACVS(Acute Cerebrovascular Syndrome)の考えにも賛同します。実際、ACVS、TIAと脳卒中との違いは微小なものです。TIAの脳卒中発症リスクはきわめて高く、脳卒中と区別することなく早期の治療を行うことが重要です。
プライマリケア医にはABCD2スコアの浸透を
TIAの早期発見に向けて、評価スコアとしてABCD2スコアの浸透が進んでいます。ただ、最近になって画像診断も組みあわせたABCD2iスコアなど、新たなスコアも提唱されてきています。MRIの拡散強調画像(DWI)陽性では、7日後までの脳卒中発生リスクが7.1倍に上昇することが分かってきたことなどが背景にあります。
ただ、プライマリケアで用いるのは、ABCD2スコアで十分だと思います。一方で、脳卒中専門医がどのスコアを用いるかは、TIAをどう評価するか、によります。
例えば、25歳の女性で、特に合併症もなく、頭痛以外の症状しかない患者さんがTIAである場合は、ABCD2スコアは0点になってしまい、TIAと診断するのは難しくなってしまいます。
このような状況を克服するためには、MRIやCT/CTアンギオグラフィー(CTA)を活用し、総合的に評価することが重要ですが、脳卒中専門医にとっても非常に複雑です。現在のところ、GPにとって画像診断の活用は難しい面もありますので、GPには頭痛があったら、救急治療室に連絡してもらうよう呼びかけています。脳卒中専門医にとっては、頸動脈狭窄のみられる患者など、ハイリスク症例を発見する上でも、画像診断は非常に有用なツールです。将来的には、これら画像診断も含めた、ハイリスク症例を診断し、早期治療につながっていけば、と思います。