ヤクルト本社 15の取扱製品 8製品は高田製薬に順次販売移管開始 7製品は終売・承継含め検討中
公開日時 2024/05/16 04:51
ヤクルト本社の伊藤淳・医薬事業管理部長は5月15日の2023年度(24年3月期)決算説明会で、抗がん剤を中心とする15の取扱製品について、エルプラットを含む8製品は順次、予定通り高田製薬に4月から販売移管を始めるとともに、残り7製品は「終売、承継を含め検討中」であることを明らかにした。医療用医薬品事業からの事実上の撤退と見る向きもあるが、この点については「現段階で撤退は決まっていない。続けていく状況」と述べた。
◎エルプラット 5月16日に販売移管
ヤクルト本社によると、高田製薬への8製品の販売移管は、▽レボホリナート「ヤクルト」、▽ゲムシタビン「ヤクルト」、▽ボルテゾミブ「ヤクルト」――の3製品は既に移管完了。5月16日に移管するのは▽エルプラット、▽イマチニブ「ヤクルト」、▽ペメトレキセド「ヤクルト」――の3製品。9月移管予定がゲフィチニブ「ヤクルト」で、オペプリムは現在調整中となっている。製造販売承認は25年4月から順次行う。8製品の販売移管・承継にあたりヤクルト本社は営業支援も行っており、MRを含む社員が高田製薬に在籍出向した。在籍出向の人数は非開示。
販売移管・承継する8製品以外のヤクルト本社の取扱製品はカンプトやカペシタビン「ヤクルト」など7製品となる。
ヤクルト本社は23年10月24日、新規の抗がん剤が05年のエルプラットから上市できていないとの内部環境や外部環境の変化から、「(医療用医薬品事業の)将来の持続成長は見込めないと判断した」とし、「当社が取り扱うがん関連の医療用医薬品の事業の最適化を検討してきた」と明らかにした。そして高田製薬への8製品の販売移管・承継を行うことともに、「開発中の品目を除き、新たな抗がん剤の開発には着手しない」との方針も示した。
この開発中の品目はドイツの4SC社から国内権利を獲得した経口HDAC阻害薬・レスミノスタットのこと。皮膚T細胞性リンパ腫(CTCL)を対象疾患とする最終段階の国際共同第2相試験にヤクルト本社も参加している。伊藤部長は、「4SC社が欧州で承認申請している。弊社としては欧州の結果を踏まえて、(国内の)今後の方針を決定していく」と述べた。