ノバルティス グリベックの肺動脈性肺高血圧症の申請取り下げ
公開日時 2013/03/06 04:02
ノバルティスファーマは3月5日、グリベック100mg錠(一般名:イマチニブメシル酸塩)について、肺動脈性肺高血圧症(PAH)の効能追加に関する承認申請を取り下げると発表した。米国・欧州と同じく日本でも審査当局から、現在の申請データではベネフィット・リスクバランスを十分判断できないとの指摘を受けたためで、今後の開発計画については「未定」としている。なお、米欧では既に、PAHに関する申請を取り下げている。
日本人25人を含む202人を対象とした国際共同・二重盲検フェーズ3(IMPRES試験)では、24週間にわたるグリベックの投与で6分間歩行距離を有意に改善。この結果を受けて同社は米国・欧州に続き昨年4月に日本でも承認申請を行った。
しかし、米欧日の審査当局から、「今回の承認申請データでは、本剤をPAHに適用する際のベネフィット・リスクバランスを適正であると判断することは難しい」との指摘を受けた。米国では追加データが必要との通知も受けており、同社は申請取り下げを判断した。
グリベックは慢性骨髄性白血病の治療薬として2001年に発売され、その後、好酸球増多症候群などに適応が広がっている。PAHについては、肺血管拡張薬を複数使用しても進行を抑制できない症例が多く、グリベック低用量投与での血管増殖因子阻害作用が有望視されていた。グリベックの11年国内売上高は409億円、12年の世界売上高は46億7500万ドルとなっている。