国内GE市場予測 15年に6837億円、11年比で41%増 ARBのGEなどで 富士経済
公開日時 2013/02/18 04:02
富士経済は2月15日、2015年の国内のジェネリック(GE)市場の売上規模が6837億円に、11年実績比で41%増になるとの調査レポートをまとめた。医療用医薬品全体の売上に占めるGEの割合は7.8%となり、11年から1.6ポイント上昇する。GE市場をけん引するのは降圧剤、高脂血症治療薬、抗がん剤、抗生物質のほか、認知症用薬アリセプトのGEが引き続き伸長する脳血管・認知症の各領域となる。なお、バイオシミラーは「15年以降に活発化する」と分析している。
15年のGEや長期収載品の市場規模、主な薬効領域別のGEの市場規模、年次推移の図表はこちら。
同社は国内GE市場と長期収載品市場について、12年11月~13年1月にかけて調査した。医療用医薬品全体の市場規模は15年に8兆7621億円、11年比で11.7%増となる。このうちGEは同6837億円、41.3%増、長期収載品は2兆5350億円、6.9%増――となる。医療用薬市場全体に占めるGEと長期収載品の割合は計36.7%。長期収載品は薬価改定の影響が大きいうえ、GEの市場浸透もあるが、大型品の特許切れが毎年見込まれることから右肩上がりの動きとなる。
◎降圧剤GEは690億円、高脂血症GEは570億円、抗がん剤GEは510億円
成長著しいとの見込みのGE市場を薬効領域別に見てみる。高血圧症・肺高血圧症市場では、15年までにARBのトップブランドであるブロプレスやディオバンの特許切れが見込まれ、Ca拮抗薬ノルバスク/アムロジンのGEもまだまだ伸びると予測する製薬企業が多いため、15年に690億円、11年比で42.6%増になると分析した。高脂血症市場は、11年末にトップブランドのリピトールのGEが初参入し、15年までにリバロのGE参入も見込まれることを理由に、15年に570億円、11年比で2.5倍と分析した。
抗がん剤市場(がん性疼痛用薬などがん関連製品含む)では、特にパラプラチン、カソデックス、タキソールの3成分のGE切替が進んでおり、中でも経口剤のカソデックスのGEの実績が拡大しているという。このため15年には510億円、11年比18.1%増になるとした。市場規模が大きい抗生物質はGE各社の注力度が高いとして、15年に488億円、11年比40.6%増と分析した。
◎バイオシミラーは214億円に G-CSF製剤などで
脳疾患・認知症薬の市場は15年に370億円、11年比で5.4倍と予測した。11年末に特許切れしてGEが初参入したアリセプトのGEの伸びが主因となる。一方で、脳卒中急性期治療薬のトップブランドであるラジカットは、DPC病院でのGEの浸透が著しいものの、価格競争に陥っているため「金額市場は伸びない可能性がある」と分析している。
そのほか、バイオシミラーは、高分子の抗リウマチ薬や抗がん剤の特許切れが見込まれる時期から、「15年以降に活発化する」と予測したが、13年中に発売見込みのがん化学療法による好中球減少症などに用いるG-CSF製剤のバイオシミラーなどにより、15年に214億円、11年比で7.6倍になると分析した。G-CSFの市場規模は11年に268億円で、グランとノイトロジンで市場の9割を占める。このバイオシミラーとして、持田製薬と富士製薬のものが12年11月に承認され、日本化薬とテバ製薬のものが申請中となっており、計4社から発売される見込み。富士経済は、「参入各社はDPC病院を中心にがん領域での実績拡大に努める方針」と見ている。