エーザイ 血管塞栓用ビーズ 多血性腫瘍、動静脈奇形に対する動脈塞栓療法で追加承認
公開日時 2015/10/05 03:50
エーザイはこのほど、高度管理医療機器の中心循環系血管内塞栓促進用補綴材ディーシー ビーズについて、「多血性腫瘍または動静脈奇形の患者に対する動脈塞栓療法」としての使用目的、効能・効果の追加承認を取得したと発表した。厚労省の「医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会」で、これらの適応の早期導入が推奨され、同社が日本で臨床試験を実施した。
ディーシー ビーズは架橋化ポリビニルアルコール高分子からなる親水性の球状微粒子で、注入用カテーテルを通じて目標となる血管を選択的に塞栓するための血管塞栓用ビーズ。同社は創製元の英国Biocompatibles社から09年7月に日本での独占開発・販売権を取得し、13年4月に「肝細胞がん患者に対する肝動脈塞栓療法」を使用目的として承認を取得、14年2月から販売している。
多血性腫瘍は、腫瘍組織に発達した血管網を介して栄養供給を受けている腫瘍の総称で、一般的に肝細胞がん、一部の転移性肝がん、腎細胞がん、骨軟部腫瘍、子宮筋腫などが知られている。これらのがん腫では腫瘍組織に栄養供給している血管を選択的に塞栓することで、腫瘍の縮小や壊死効果が期待できる。
動静脈奇形は、動静脈が毛細血管を介さずに異常連結したことによって血液循環動態に異常をきたし、機能障害や器質障害などを惹起する先天性の血管奇形のこと。血管塞栓術で奇形部位への異常血液流入を遮断することで、血液循環動態を正常化させるとともに、周辺正常血管の血流を回復させて動静脈奇形に伴う症状の改善をはかる。