EMA新規委員会 経口避妊薬の安全性見直し
公開日時 2013/03/13 04:00
欧州医薬品庁(EMA)のファーマコビジランス・リスク評価委員会(PRAC)は、2012年の7月末に発足して以来まだ6か月余りだが、新薬安全性監視に積極的に取り組んでいる。PRACは現在、第3世代もしくは第4世代の経口避妊薬(OC)配合剤を、他のOC配合剤を服薬できない場合にのみ服用を制限するべきかどうかについて見直しを行っている。この薬剤グループは、PRAC発足以降9番目の評価対象薬となった。
PRACは、フランスで、これら薬剤を服用した女性では、血栓塞栓症発症のリスクが高くなることへの懸念があることからフランス政府の依頼に応じて検討を始めた。EMAは、フランスが第2世代のOCの使用に推奨し、第3、第4世代のOCの使用を減少させることに取り組んでいると見ている。フランスは、2013年3月31日で、第3世代OCの保険償還を止める予定だ。
EMAは、OC配合剤の血栓のリスクは、1年間の使用で10万人あたり20-40人と非常にまれなケースであると説明、第3、第4世代OCは第1、第2世代OCと比較するとリスクは高いとしている。OCは、エストロゲン、エチニルエストラジオール、プロゲスチンを含有する。バイエルヘルスケアのYazおよびYasminはプロゲスチン・ドロスピレノンを含む第4世代OCである。第3世代プロゲスチンはデソゲストレルおよびゲストデンを含む。デソゲストレルを含む製品には、テバファーマシューティカルインダストリーズのMircette、ワトソンラボラトリーズのReclipsen、オーソマクニールヤンセンファーマシューティカルズのOrtho-Ceptがある。ゲストデンを含む製品には、バイエルのFemodeneおよびFemodetteがある。
第2世代プロゲスチンはレボノルゲストレルを含み、第1世代プロゲスチンはエチノジオールとノルエチンドロンを含んでいる。
バイエルは、PRACの再審査について、「患者の安全が最優先で、わが社は世界中の関係当局と当該製品の使用およびリスク・ベネフィットプロファイルについて意見交換を行うために緊密な協力をする」と話している。この問題については、2012年11月にEMAが、メディアの報じたOCのリスク問題を受け、現段階では、現在市販されているOCの安全性については従来通りで何らの使用変更などは不必要との発表を行ったことに端を発している。
一方、EMAは今年1月30日に、フランスでバイエルのDaine35(シプロテロン+エストラジオール)および同剤の後発品の一時販売停止が当局から命じられたことを発表。同剤はフランスでは、ざ瘡の適応でも承認されており、また他のEU諸国でも避妊薬として承認されている。
また、米FDAもOC配合剤のリスクを監視している。FDAは昨年、第4世代OCである、ドロスピレノンを含有するOCが他のプロゲスチンを含むOC配合剤よりも血栓発症のリスクが高いという安全性情報を発行している。
しかし、FDAは最近、消費者団体Public Citizenによる、デソゲストレルを含む第3世代OCの販売禁止の要請を、ラベルには静脈血栓塞栓症のリスクを十分に記述してあるとの理由で拒否した。
PRACの再審査は、EMAがOCに与える初めての正式な勧告になると思われる。EMAの広報は、EMAはOCについては、1990年代に非公式な手続きでOCの安全性評価を行っていると話している。PRACは、約半年で、コデイン、ジクロフェナック、テトラゼパムなどの成分を含む各薬剤、短時間作用型β作動薬および上記OCなど9種類の薬剤について、安全性の見直しを行い、すでに勧告が出された1種類を除いて、勧告の公表は今年4-5月ごろに集中している。OC についての勧告時期は未定。
The Pink Sheet 2月4日号