薬食審・第一部会 経口抗凝固薬アピキサバンなど7成分を審議 承認了承
公開日時 2012/12/03 04:02
厚生労働省の薬食審医薬品第一部会は11月30日、新薬など7成分を審議し、承認することを了承した。この中には新規の経口抗凝固薬エリキュース錠(成分名・アピキサバン)がある。同省は部会後に、エリキュース錠について、「血栓の形成阻害の薬剤であり、(類薬とともに)出血が一番注意すべき副作用と考えている。出血には十分、注意喚起していきたい」とコメントした。
承認が了承された薬剤は次のとおり。
【審議品目】
▽ニュープロパッチ2.25mg、同パッチ4.5mg、同パッチ9mg、同13.5mg(成分名・ロチゴチン、会社名・大塚製薬):2.25mg、4.5mgは「パーキンソン病、中等度から高度の特発性レストレスレッグス症候群」、9mgと13.5mgは「パーキンソン病」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。海外はパーキンソン病では54か国で、レストレスレッグス症候群では35か国で承認済み。
1日1回投与の世界唯一のドパミン・アゴニストの経皮吸収型製剤。薬剤を持続的に放出する貼付剤とすることで、24時間一定の血中濃度を維持する。パーキンソン病や突発性レストレスレッグス症候群の症状は1日を通じて症状が出るため、患者の服薬利便性の向上も踏まえて開発された。
▽エリキュース錠2.5mg、同5mg(アピキサバン、ブリストル・マイヤーズ):「非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。海外は欧州で承認されている。
日本で承認されれば、国内3番目の経口ファクターXa阻害薬となる。厚労省の説明によると、用法・用量は通常、成人には、アピキサバンとして1回5mg、1日2回経口投与する。必要に応じて1回2.5mg、1日2回経口投与に減量する。同剤は、BMSとファイザーが共同開発し、両社でコ・プロモーションする。
▽ライゾデグ配合注フレックスタッチ、同配合注ペンフィル(インスリンデグルデク(遺伝子組換え)/インスリンアスパルト(遺伝子組換え)、ノボ ノルディスク ファーマ):「インスリン療法が適応となる糖尿病」を効能・効果とする新医療用配合薬。再審査期間は残余(2020年9月27日まで)。海外は12年10月時点で米欧含む10か国で審査中。
持効型インスリンデグルデクと超速効型インスリンアスパルトによる配合薬で、持効型のデグルデクにより基礎分泌を補充して空腹時血糖値を低下させる一方、超速効型のアスパルトにより追加分泌を補充し、食後の血糖値を低下させる。1日1回または1日2回皮下注射する。
▽アクトネル錠75mg/ベネット錠75mg(リセドロン酸ナトリウム水和物、味の素/武田薬品)。「骨粗鬆症」を効能・効果とする新用量・剤形追加に係る医薬品。再審査期間は4年。
月1回投与のビスフォスフォネート製剤。海外では2008年から月1回投与製剤も販売されている。アクトネル錠は味の素が製造し、エーザイが販売している。
▽ホスリボン配合顆粒(リン酸二水素ナトリウム一水和物/無水リン酸水素二ナトリウム、ゼリア新薬):「低リン血症」を効能・効果とする新効能・新用量・剤形追加に係る医薬品。希少疾病用医薬品で、再審査期間は10年。全例調査を行う。
厚労省によると、効能・効果の関連注意として、添付文書に「くる病・骨軟化症等をきたす」低リン血症といった主旨の文言が記載される方向。同症の治療法は、経口リン酸塩製剤と活性型ビタミンD製剤の併用が一般的。しかし、経口リン酸塩製剤は世界では市販されているものの日本にはなく、日本小児腎臓病学会などから開発要望され、厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」から開発要請されていた。
▽コレアジン錠12.5mg(テトラベナジン、アフルレッサファーマ):「ハンチントン病に伴う舞踏運動」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品で、再審査期間は10年。海外は18か国で承認済み。全例調査を行う。
ハンチントン病は遺伝性の神経変性疾患で、舞踏運動などの不随意運動、精神症状、行動異常、認知障害などを特徴とする。厚労省の未承認薬開発支援事業の基金や未承認薬等開発支援センターの助成金を受けて開発された。
▽ミニリンメルトOD錠60μg、同OD錠120μg、同OD錠240μg(デスモプレシン酢酸塩水和物、フェリング・ファーマ):60μg製剤は「中枢性尿崩症」を効能・効果とする新効能・新用量・剤形追加に係る医薬品。120μg、240μg製剤は「中枢性尿崩症」を効能・効果とする新効能・新用量に係る医薬品。再審査期間は残余(2018年3月29日まで)。海外は、中枢性尿崩症や夜尿症で60か国以上で承認済み。同剤の販売元は協和発酵キリンで、フェリングと協和発酵キリンでコ・プロモーションしている。
【報告品目】
▽ラディオガルダーゼカプセル500mg(ヘキサシアノ鉄(ⅠⅠ)酸鉄(ⅠⅠⅠ)水和物、日本メジフィジックス):「タリウム及びタリウム化合物による中毒」の効能・追加を追加する新効能医薬品。再審査期間は残余(2018年10月26日まで)。海外はドイツと米国で承認(12年7月現在)。
▽ミカムロ配合錠BP(テルミサルタン/アムロジピンベシル酸塩、日本ベーリンガーインゲルハイム):「高血圧症」を効能・効果とする新用量・剤形追加に係る医薬品。再審査期間は残余(2014年7月22日まで)。海外は世界70か国以上で承認済み。
同配合錠BPは、テルミサルタン80mgとアムロジピン5mgを含有する配合剤。既に上市されている同配合錠APはテルミサルタン40mgとアムロジピン5mgを含有する。