メルク、Ambrx、 抗体薬物複合体を共同開発
公開日時 2012/07/09 04:00
米メルクは、6月18日、ベンチャーのAmbrixと抗体-薬物複合体(ADC)について共同開発契約を締結したと発表した。同契約に基づき、Ambrixは同社のADC技術を両社が選択したターゲットについて、メルクが発見・開発する生物製剤に応用する。メルクは、Ambrixに対して前払い金1500万ドルに加え、売上に応じたマイルストーンやロイヤルティなど最大2億8800万ドルを支払う。
メルクは、Seattle GeneticsがADCであるAdcetris(brentuximab vedtin)を成功裏に開発させたことに刺激されたと見られている。Adcetris上市後、米国臨床腫瘍学会(ASCO)で、ロシュ/ジェネンテクのADC、T-DM1についてのフェーズIII試験EMILIAのデータが発表され、さらに関係者にあいだでのADCへの関心が高まった。T-DM1は、分子標的抗がん剤Herceptin(トラスツズマブ)に細胞毒性剤DM1を結合させ、初期乳がんを対象としている。
現段階では、メルクおよびAmrixは、新規に開発するADCの標的については明らかにしていないが、がん領域に留まらない薬物複合技術の可能性に注目していることは明確にしている。同社のSimon Allen CBO(最高業務責任者)は、今回の提携では、がん領域に留まらず、自己免疫疾患、炎症、心血管疾患、代謝障害の領域で新規治療法を生み出したいと話している。
同CBOは、「ADC技術が応用できない薬効領域はないと思っている。基本的には、強い効果を持つがかなり重篤な副作用の可能性がある分子を最適化させることが出来るか否かで違いがでる」と話している。
Ambrixは、かつて、EuCodeおよびReCodeと呼ばれる薬物複合体に関する基盤技術でワイス(現ファイザー)およびブリストルマイヤーズ(BMS)と提携していた。同社は、同社のタンパクメディシナルケミストリー技術は、多数の特異的な標的を産生できるために、他の薬物複合体と比較して有効性・安全性に優れた製品を提供できると信じている。メルクとAmbrixの提携の今後が注目される。
The Pink Sheet Daily 6月18日号