協和発酵キリン 抗パーキンソン剤「KW-6002」のフェーズ3で運動機能の改善を証明
公開日時 2012/06/21 04:00
協和発酵キリンは6月19日、国内で今年3月にパーキンソン病の適応症で承認申請した「KW-6002」(一般名:イストラデフィリン)のフェーズ3試験の結果が、国際パーキンソン病・運動障害疾患学会(ダブリンで開催)で報告されたと発表した。運動合併症を併発したパーキンソン病でウェアリング・オフ(症状の日内変動や不随意運動)を軽減し、運動機能を改善することが証明されたとしている。同剤はパーキンソン病治療薬としてはアデノシンA2A受容体という新規の作用機序をもつ化合物。同社では13年頃の上市を期待している。
発表されたフェーズ3は、無作為化、二重盲検プラセボ対照比較の多施設共同試験で373例の患者が試験に組み込まれた。レボドパ製剤で治療中の運動合併症を併発しているパーキンソン病患者に、KW-6002を1日1回(20mg、40mg)を12週間投与した際の有効性と安全性を、プラセボと比較し評価したもの。主要評価項目は1日の平均オフ時間の変化。
結果は、1日平均オフ時間の変化において、KW-6002の20mg、40mgはいずれも、プラセボに比べ有意な減少を示した。プラセボが-0.23時間に対し、KW-6002は20mgが-0.99時間、同40mgは-0.96時間だった。副次評価項目のUPDRS(パーキンソン病を総合的に評価する基準)も、プラセボに対し有意な改善効果を示した。
一方、安全性(有害事象)は、プラセボに比べKW-6002で明らかに多く発現した事象はジスキネジア(不随意運動の総称で、自分の意志にかかわりなく身体が動いてしまう症状)のみ。KW-6002で5%以上発現した有害事象は、ジスキネジア、鼻咽頭炎、便秘、傾眠だった。
協和発酵キリンにとっては、同剤が承認されれば、ぺルマックス(経口剤)、イーシー・ドパール(経口剤)、アポカイン(皮下注、今年3月30日に承認取得)といったドパミン受容体作動薬に次ぐ4製品目のパーキンソン病治療薬となる。
国内のパーキンソン病患者数は約15万人、治療薬の市場規模は約700億円(薬価ベース)。KW-6002はドーパミン受容体作動薬で治療を受けていた患者で、途中で効果がなくなった患者への新たな選択肢として期待されるという。