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大薬協とインド製薬協会・日印企業セミナー 印進出 特許保護と価格設定が課題

公開日時 2012/03/21 04:01

日本とインドの製薬企業の協力の可能性を探る「インド・日本製薬企業セミナー」が3月19日、大阪の千里ライフサイエンスセンターで行われた。ジェネリック(GE)に関しては、インド企業が持つ品質管理と低い製造コストを活用しながら、日印市場相互で事業展開を支援するなど日印企業間の協力の余地が大きいことで両国出席者の認識は一致したが、日本の新薬企業による印市場への新薬投入については、特許保護の保証と価格設定が課題に挙がった。

セミナーは、大阪医薬品協会、インド製薬企業協会(IDMA)、千里ライフサイエンス振興財団によって開催され、日本側から企業関係者ほか研究者(甲南大学の上池あつ子講師)ら、インド側はIDMAほか商工会議所など産業界関係者が参加。会場には業界関係者120人以上が出席した。

低い製造コストと高い品質管理による原薬や製剤輸出国として知られるインド医薬品市場は、規模はまだ200億ドル(うち80億ドルは輸出)程度だが、年成長率は十数%。新薬の使用も可能になる中間所得層の急増し、05年には物質特許制度も実施された。日本の新薬メーカーとしても注目の新興国市場の1つであり、日本の新薬メーカー大手は、自前や買収会社を通じ進出している。

その中で大塚製薬のOIAA事業部(アジア・アラブ地域を統括する組織)・原田順夫氏は、低コストで高品質という生産面のメリットは認めつつも、新薬の本格投入については薬価政策、知財政策が十分見通せないことを指摘し、慎重な構えを見せた。

背景には、インド特許庁が3月に、独バイエルの抗がん剤ネクサバールのGEの国内販売について、印ナトコ社に強制的に実施権を認める判断を下したことがある。バイエル品は月6000ドル程度かかるのに対しその3%の価格で販売するナトコ社を支持した形。ナトコは売上の6%をバイエルに支払わなければならないとはいうものの、海外新薬メーカーには知財問題が残ることを印象づける出来事となった。

原田氏は、このようなケースは避けたいとし「(特許からもたらされる)独占性をどう活用するか。これがないと成功がない」と述べた。印産業側からは、今後もバイエルとナトコと同様のケースは考えられるとし、インド商工会議所連合会(FICCI)のArmab-Kumar-Hazra氏は、「印政府は国民の入手可能性(アクセシビリティ)を重視している」ことが背景にあると強調。「公的健康保険がない中では、患者が自費で購入しなければならず、それで買えるような薬価でなければならない」と、印政府の考えを解説した。

一方、セミナーでは、GEについては、日本政府によるGE使用促進策で印企業の注目度が高い一方で、日本企業にとっては印市場は未開拓。両社の持つリソースを活用することでお互いの市場おいて協業がメリットになりうるとの認識で一致した。




 

 

 

 

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