厚労省 未承認薬などをメーカーに開発要請
公開日時 2010/05/24 04:01
厚生労働省は5月21日、医療上必要性が高いと判断した未承認薬、適応外薬を開発するようメーカーに要請した。4月に厚労省の有識者会議が109の薬剤については必要性を認めたのを受け、今回俎上に載ったのは108。96の薬剤はメーカーに要請。開発メーカー候補のない12の薬剤は開発メーカーを公募した。
108の内訳は未承認薬50、適応外薬58。ドラッグ・ラグの象徴とされてきたゲムシタビン(製品名:ジェムザール注射用、開発メーカー:日本イーライリリー)の卵巣がんの適応取得ほか、国内に治療薬がなく、本誌で報道してきた希少難病CAPS(クリオピリン関連周期発熱症候群)の治療薬は、要望3件のうち、カナキヌマブ(開発メーカー:ノバルティスファーマ)、リロナセプト(開発メーカー公募)が含まれた。
要請が留保された1件は、エノキサパリンナトリウム(製品名:クレキサン皮下注)の「急性冠症候群におけるPCI施行時使用」の適応追加。当初からメーカーのサノフィ・アベンティスは「現行の未分画ヘパリンによる治療で十分」との見解を示し、開発する意思はないと表明していた。医薬食品局審査管理課は、今後学会の意見も聞きつつ、今後判断するとしている。
同省は要請したメーカーに対し6月21日までに開発計画などを盛り込んだ「開発工程表」の提出を指示した。その後、7月中に開かれる厚労省の有識者会議による工程表の妥当性の検討へ経て、開発の運びとなる。
メーカー別要請件数は次のとおり。
ファイザーが7件、塩野義製薬が6件、グラクソ・スミスクライン、エーザイ、ノバルティスファーマ、ノーベルファーマが5件、サノフィ・アベンティス、中外製薬が4件、第一三共、田辺三菱製薬、日本新薬、日本メジフィジックス、ヤンセンファーマが3件、大塚製薬、協和発酵キリン、サンド、日本イーライリリー、日本化薬、万有製薬、富士製薬が2件、1件の主なメーカーはアストラゼネカ、大日本住友製薬、武田薬品、バイエル薬品。
未承認薬などの開発要請に応えることは、4月からの新薬価制度で実施された新薬創出加算と関係しており、すでに4月に加算を受けたメーカーは一定期間内に開発要請に対応しなければ、加算が取り上げられたり、次回改定で加算が取得できなくなったりする。そのためメーカーは対応を迫られる仕組みになっている。
厚生労働省が公表した開発要請リストは以下
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2010/05/s0521-5.html