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アービタックス KRAS遺伝子の変異の有無考慮して投与を 厚労省指導

公開日時 2010/03/25 04:01

厚生労働省医薬食品局安全対策課は、3月23日付に発出した通知で、治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌に用いる抗がん剤アービタックス(一般名:セツキシマブ遺伝子組換え)の添付文書に、KRAS遺伝子の変異の有無考慮して投与することを追記するよう指導した。同剤は、KRAS遺伝子に変異のない(野生型)患者に効果が高いことが臨床試験で明らかになってきている。KRAS遺伝子変異検査が4月には保険適用となる予定であり、診断薬は承認審査中という状況から判断したもの。

アービタックスは、メルクセローノ(製造販売)とブリストル・マイヤーズが販売している。今回、日本製薬団体連合会に対し発出した「使用上の注意の改訂について」の通知で、「効能・効果に関連する使用上の注意」の項に「本剤の使用に際してはKRAS遺伝子変異の有無を考慮した上で、適応患者の選択を行うこと」と追記するよう指示。臨床試験の項に選択に参考になるデータを記載させる。

変異の有無を事前に調べる環境が整いつつある中で、有効性より重篤な副作用を起こす危険性が高まる効果の低い変異型患者への投与を避ける狙いがある。

KRAS遺伝子と薬剤投与の関係では、3月23日に薬食審・薬事分科会で承認が了承された、武田薬品の抗がん剤ベクティビックス点滴静注100mg(パニツムマブ遺伝子組換え)の効能・効果に「KRAS遺伝子野生型の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がん」と、効果の高い患者を選び投与することが明記された。

KRAS遺伝子に変異があると、がん細胞の増殖シグナルが出続けてしまうため、薬効が低くなってしまう。変異がない野生型には効果が高いことが知られており、野生型は全患者の6割といわれる。

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