IMSジャパン 09年度 国内医療用医薬品市場 7.2%増の8兆8516億円
公開日時 2010/02/24 04:01
IMSジャパンは2月22日、09年1~12月の国内医療用医薬品の売上高(薬価ベース)が前年比7.2%増の8兆8516億4700万円だったと発表した。薬価改定の年に当たらなかったことや、新型インフルエンザ流行が追い風となり、高い伸び率を示した。薬効別でみると、最も伸長率の高かった抗腫瘍薬剤、脂質調整剤・動脈硬化用剤が2ケタ成長と市場の伸長に大きく寄与した一方、抗菌剤やCa拮抗剤はマイナス成長だった。企業別では上位20社にランクインした中外製薬やサノフィ・アベンティスが2割近い売上増となり好調だったが、ファイザーは主力のノルバスクの売上を大幅に減らした影響で3.1%の減収となった。また、上位10製品ではARBオルメテックの躍進が目立った。【修正済み、修正箇所は斜体】
市場別でみると、病院市場が3兆3976億1500万円(前年比5.2%増)、開業医市場が2兆2383億200万円(6.1%増)、薬局その他の市場(主に調剤薬局)が3兆2157億3000万円(10.4%増)--。
売上高の上位10製品は1位、2位ともにARBで、トップがブロプレスの1514億4100万円(1.8%増)、2位がディオバンで1400億円(4.4%増)だった。3位以下はスタチンのリピトールが1117億6600万円(4.4%増)、アルツハイマー型認知症治療薬アリセプトが1093億8100万円(19.9%増)、Ca拮抗剤治療薬ノルバスクが1090億5700万円(12.5%減)、鎮痛消炎剤モーラスが915億8900万円(10.0%増)、ARBオルメテックが823億5700万円(24.2%増)、消化性潰瘍治療剤タケプロンが813億8700万円(9.5%増)、ARBミカルディスが781億3000万円(9.2%増)、前立腺がん等治療剤リュープリンが749億4600万円(3.8%増)--となった。
販売会社ランキングの上位10社は、トップが武田薬品で6789億円(3.1%増)、2位がアステラス製薬で6264億400万円(5.6%増)、3位が第一三共で5162億9000万円(4.1%増)。4位以下は、中外製薬4207億8300万円(19.0%増)、田辺三菱製薬4133億8300万円(4.2%増)、ノバルティスファーマ3553億2800万円(6.5%増)、エーザイ3514億6900万円(12.4%増)、ファイザー3303億7800万円(3.1%減)、GSK2719億7100万円(14.6%増)、大塚製薬2523億9500万円(9.1%増)--と続いた。
薬効別でみると、上位10薬効は前年と変わらず、トップはレニン-アンジオテンシン系作用薬(6105億3100万円、8.2%増)、2位は抗腫瘍剤(5338億3000万円、16.0%増)、3位は制酸剤、鼓腸および、潰瘍治療剤(4466億円5100万円、4.6%増)。このうち抗腫瘍薬剤は分子標的薬が伸長の原動力となっており、1位のレニン・アンジオテンシン系作用薬との差を前年の1007億円から09年度は767億円まで縮めた。大腸がん治療薬アバスチン(413億円、77.4%増)は薬効内トップの慢性骨髄性白血病治療薬グリベック(464億円、3.3%増)とともに400億円製品に加わり、薬効内順位も前年の8位から3位にランクアップした。
また、好調だった脂質調整剤・動脈硬化用剤市場は、リピトール(1117億円、4.4%増)が、前年の2.3%減のマイナスからプラスに転じたことに加え、後発品の影響を受けた2位のメバロチン(556億円、8.0%減)との差を広げた。新世代の高脂血症治療剤のクレストール(併売品)は大きく成長し、アストラゼネカでは61.4%増の280億円、塩野義製薬は46.4%増の263億円となった。マイナス成長となったCa拮抗剤市場はアムロジピンの特許切れに伴う後発品の影響を受け、ノルバスクは12.5%減の1090億円、アムロジンは10.7%減の612億円となった。