富山化学 開発中の新規経口インフル薬 1000万人分供給へ工場改修
公開日時 2010/02/18 04:02
富士フイルムグループの富山化学は、日本で年内に承認申請する予定の新規作用経口インフルエンザ治療薬「T-705」(一般名:ファビピラビル)について、生産能力を高めるため工場の改修を進めている。年間1000万人分の供給を目指して、富山市にある既存生産設備を10億円強かけて改修、6月末までに工事を終える計画だ。現在は下火となったものの、インフルエンザの再度の流行が懸念されているため、迅速に生産体制も整える。
タミフルなどの既存のノイラミニダーゼ阻害薬はウイルスが細胞から遊離するのを阻害して他の細胞への増殖を防ぐものだが、富山化学が開発中の治療薬「T-705」は、RNAポリメラーゼ阻害薬と呼ばれ、直接ウイルスの遺伝子複製を阻害して体内での増殖を防ぐ新規の作用機序。同社は、既存薬への耐性化対策の観点からも「極めて有用な薬剤」としている。厚労省は同剤を、フェーズ1に入る前から、優先的に治験相談できる優先対面助言品目に指定しており、迅速な開発を求めている。
「T-705」は日本で現在、新型を含むインフルエンザ患者を対象にフェーズ3試験を実施中。今シーズン中に症例収集を終え、年内に申請する予定だ。一方、米国でも2月12日からフェーズ2を始めており、10年末にはフェーズ3を実施、11年に申請する計画。