生物学的製剤の先発品 米国での独占販売期間は12年へ
公開日時 2009/08/20 04:00
米国では、先発の生物学的製剤における独占販売期間が12年間となる方針が固まった。米国下院エネルギー及び商業委員会は7月31日、医療革法案を可決。上院ではすでに、独占販売期間を12年とした案が可決されており、争点となっていた独占販売期間について1つの結論が出た形だ。
生物学的製剤の独占販売期間については、その法制化を「米国医療改革法案」の中に、“バイオシミラー条項”として盛り込み、議会で審議されている。バイオシミラー条項とは、生物学的製剤の後発品をバイオシミラー(フォローオン・バイオロジクス、後発生物学的製剤:FOB)と正式に認定。その上で、簡略化された申請での認可を可能にするというもの。
生物学的製剤の後発品は、先発品とほぼ同じ効果を持つとされている。しかし、通常の小分子医薬品の後発品とは異なり、分子構造や規格が全く同一視できない。そのため、これまでのところ通常の後発品には認められている“簡略申請”を行うことができなかったことから、FOBの法制化が望まれていた。
FOBの法制化により、患者に安価なFOBを提供することが可能になる。そのため、これまでバイオ先発品が高額であることに悩んでいた患者への一助となると期待される。一方で、先発メーカーには独占販売権を認めることで、研究開発促の方策も盛り込んだ。
■下院では独占販売期間めぐり対立
独占販売期間については、対立がみられていた。特に、下院では、医療問題の最有力リーダーで、エネルギー及び商業委員会の委員長を務めるH・ワックスマン議員が「5年」とした法案を示した。これに対し、A.・エシュー議員は「12年」としていた。
7月31日に行われた投票の結果、エシュー法案の12年が47票を集め、ワックスマン法案の5年(11票)に大差をつけ、議決された。
ワックスマン議員は不満を隠せず、「12年もの長い独占期間では、バイオ後発メーカーは市場参入を諦めてしまい、患者のコスト低減を意図したバイオシミラー条項の意味がなくなるだろう」とコメントしている。
一方、エシュー議員は「これで、先発品をベースにしたFOBの簡略申請の道が開けて、患者に有効な治療を早く提供できるようになる」と述べている。
(The Pink Sheet 8月3日号より) FDAと米国製薬企業の情報満載 “The Pink Sheet”はこちらから