厚労省 5製品の適応追加など承認 キイトルーダに胃がん、胆道がんの1次治療を追加
公開日時 2024/05/20 04:50
厚生労働省は5月17日、5製品の適応追加などを承認した。MSDの抗PD-1抗体・キイトルーダに胃がん及び胆道がんの1次治療の適応が追加されたほか、小野薬品のBRAF阻害薬・ビラフトビとMET阻害薬・メクトビの併用療法に、甲状腺がん及び甲状腺未分化がんの適応が追加された。
適応追加などが承認された製品は次の通り(カッコ内は一般名、製造販売元)。投与経路・薬効分類順。
▽ビラフトビカプセル50mg、同75mg(エンコラフェニブ、小野薬品):「がん化学療法後に増悪したBRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な甲状腺がん及びBRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な甲状腺未分化がん」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。薬効分類:内429。
▽メクトビ錠15mg(ビニメチニブ、小野薬品):「同」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。薬効分類:同。
ビラフトビはBRAF阻害薬。メクトビはMEK阻害薬。BRAFおよびMEKは、MAPKシグナル伝達経路における重要なプロテインキナーゼで、この経路が増殖、分化、生存および血管新生を含むいくつかの重要な細胞活性を調節することが示されている。この経路におけるタンパク質の不適切な活性化は悪性黒色腫、結腸・直腸がん、甲状腺がんを含む多くのがんにおいて生じることが報告されている。ビラフトビおよびメクトビは、どちらもこの経路の重要な酵素を標的としている。
2剤併用療法による甲状腺がん及び甲状腺未分化がんに対する適応追加の一変申請が23年5月に行われ、承認された。海外では24年1月時点で、甲状腺がんに対する2剤併用療法が承認されている国又は地域はない。
甲状腺がんは、気管の付近、頸部の前面に位置する甲状腺組織中に発生する悪性腫瘍であり、組織学的には、分化がん(甲状腺がんの約97%)、未分化がん(同1~2%)、髄様がん(同1~2%)に大別される。
▽プレバイミス錠240mg、同点滴静注240mg(レテルモビル、MSD):「臓器移植におけるサイトメガロウイルス感染症の発症抑制」を効能・効果とする新効能医薬品。再審査期間は5年10カ月。薬効分類:内625、注625。
抗サイトメガロウイルス化学療法剤。18年3月に「同種造血幹細胞移植患者におけるサイトメガロウイルス感染症の発症抑制」の適応で承認を取得している。今回、臓器移植患者における適応を追加された。
▽ジーラスタ皮下注3.6mg(ペグフィルグラスチム(遺伝子組換え)、協和キリン):「造血幹細胞の末梢血中への動員」を効能・効果とする新効能医薬品。薬効分類:注339。
持続型G-CSF製剤。22年2月に「同種末梢血幹細胞移植のための造血幹細胞の末梢血中への動員」の適応で承認されており、今回、自家末梢血幹細胞移植にも用いることができるよう、これまでの「同種末梢血幹細胞移植のための」が削除された。
▽キイトルーダ点滴静注100mg(ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)、MSD):「治癒切除不能な進行・再発の胃がん」及び「治癒切除不能な胆道がん」及びを効能・効果とする新効能・新用量医薬品。薬効分類:注429。
ヒト化抗ヒトPD-1モノクローナル抗体。今回、治癒切除不能な進行・再発の胃がんに対する化学療法との併用療法(1次治療)と、治癒切除不能な胆道がんに対する化学療法との併用療法(1次療法)がそれぞれ承認された。
胃がんに係る承認は、国際共同第3相KEYNOTE-859試験(化学療法(フッ化ピリミジン系薬剤およびプラチナ系薬剤)との併用療法での1次治療)の結果に基づく。用法・用量は「他の抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、成人には、1回200mgを3週間間隔又は400mgを6週間間隔で30分間かけて点滴静注する」。
胆道がんに係る承認は、国際共同第3相KEYNOTE-966試験(化学療法(ゲムシタビンおよびシスプラチン)の併用療法での1次治療)の結果に基づく。用法・用量は、「ゲムシタビン塩酸塩及びシスプラチンとの併用において、通常、成人には、ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)として、1回200mgを3週間間隔又は1回400mgを6週間間隔で30分間かけて点滴静注する」。