中外製薬 バビースモで網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫の適応追加を申請
公開日時 2023/04/28 04:50
中外製薬は4月27日、抗VEGF/抗Ang-2ヒト化二重特異性モノクローナル抗体・バビースモ硝子体内注射液120mg/mL(一般名:ファリシマブ(遺伝子組換え))について、網膜静脈閉塞症(RVO)に伴う黄斑浮腫に対する適応拡大申請を行ったと発表した。
RVOは、網膜血管疾患による視力喪失において2番目に多い原因とされる。世界で2800万人が罹患していると推定され、重度かつ急性の視力喪失に至る可能性がある。RVOでは、静脈が閉塞して網膜の正常な血流が制限され、黄斑浮腫と呼ばれる虚血、出血、体液の漏出、網膜の腫れが生じ、通常、患部の眼に急性の無痛性の視力障害が生じる。通常、RVOに伴う黄斑浮腫の治療は、抗血管内皮増殖因子製剤の硝子体内注射を繰り返し行う。
同社の奥田修社長CEOは、「RVOは、視力を脅かし失明に至る可能性がある疾患。既存の適応症に加え、バビースモがRVOに伴う黄斑浮腫に対する新たな治療選択肢として患者さんの治療により一層貢献できるよう、1日も早い承認取得に向けて取り組む」とコメントしている。
今回の承認申請は、網膜静脈分枝閉塞症を対象としたBALATON試験、および網膜中心静脈閉塞症または半側網膜静脈閉塞症を対象としたCOMINO試験の成績に基づく。いずれもグローバル第3相臨床試験であり、国内からも参加している。
バビースモは眼科領域において承認された初のバイスペシフィック抗体。アンジオポエチン-2(Ang-2)と血管内皮増殖因子-A(VEGF-A)を中和することにより、視力を脅かす多くの網膜疾患の原因である2つの経路を標的とし、阻害する。Ang-2とVEGF-Aは、血管構造の不安定化により、漏出を引き起こす血管を新たに形成し、炎症を起こすことで視力低下を引き起こすとされている。バビースモはAng-2とVEGF-Aが関与する経路を遮断することで、血管を安定させるよう設計されている。