ノババックス製の新型コロナワクチンの承認了承 18歳以上の初回及び追加免疫に使用 薬食審・第二部会
公開日時 2022/04/18 22:45
厚生労働省の薬食審医薬品第二部会は4月18日、武田薬品が承認申請した米ノババックス製の新型コロナワクチン「ヌバキソビッド筋注」(一般名:組換えコロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチン)の承認を了承した。早ければ19日に承認する。同ワクチンの接種対象者は「18歳以上の者」。初回免疫(1回目、2回目)と追加免疫(3回目)のいずれにも使用できる。後日開催される厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会で、公費接種の対象とするかどうかや、初回免疫でファイザー製やモデルナ製などのワクチンを接種した者に追加免疫でノババックス製を用いる「交互接種」を可能とするかなどを議論する。
ノババックス製ワクチンの用法・用量や用法などに関連する注意によると、初回免疫は、通常3週間の間隔をおいて2回接種して用いるが、▽3週間を超えた場合は、できる限り速やかに2回目を接種すること、▽原則として、他のSARS-CoV-2に対するワクチンと混同することなく2回接種するよう注意すること――が注意喚起される。追加免疫は、「通常、本剤2回目の接種から少なくとも6カ月経過した後に3回目の接種を行うことができる」と記載される。
◎交互接種の可否 厚科審ワクチン分科会で議論
同ワクチンの企業治験は初回免疫、追加免疫とも基本的にノババックス製ワクチンを使用しているため、薬事承認では原則として他のワクチンと混同することなく使用するよう求める内容となる。ただ、同省は部会後の記者説明会で、「薬事承認は企業治験でのデータを確認して行われる」とした上で、「交互接種については、海外論文などのデータを元にした厚生科学審議会での議論を否定するものではない」と述べ、後日開催される厚科審予防接種・ワクチン分科会で交互接種の可否などが議論され、一定の結論が得られるとの見通しを示した。
◎追加免疫で血清中和抗体価が大きく回復
厚労省によると、ノババックス製ワクチンの臨床第3相試験では、初回免疫について、▽90.4%(米国及びメキシコで行われた3万人規模の試験)▽89.7%(英国で行われた1万5000人規模の試験)――の発症予防効果が確認された。国内治験では、「日本人における血清中和抗体価は海外でのデータと大きく異ならない結果が得られている」という。追加免疫については、2回目接種後14日後の血清中和抗体価の幾何平均値(GMT)が724.2、180日後が69.4だったところ、3回目接種後35日後に3687.7に大きく回復することが確認された。
安全性は、米国及びメキシコでの試験において、18歳以上について接種後7日までの局所・全身反応は軽度~中等度で一過性であり、追跡期間中に安全性の懸念は認められなかった。
ノババックス製ワクチンは組換えタンパクワクチン。ファイザー製、モデルナ製、アストラゼネカ(AZ)製に続く4剤目の新型コロナワクチンだが、これまでの3剤とモダリティが異なる。ノババックス製ワクチンは、ノババックスから技術移転を受けた武田薬品が国内自社工場で生産し、流通を行う。国内製造ワクチンとしてはAZ製に続く2剤目となる。武田薬品はこれまでに日本政府との間で、薬事承認を前提に、概ね1年間で1億5000万回分を供給する契約を締結。現時点では5月23日の週から配送が始まる予定になっている。
ノババックス製ワクチンは、ウイルス抗原(SARS-CoV-2スパイクタンパク)の遺伝子をもとに、昆虫細胞を用いて発現させた遺伝子組換えSARS-CoV-2スパイクタンパク質をナノ粒子化して製造されたワクチン。免疫の活性化を促進するためにアジュバントが添加されている。ウイルスタンパクをアジュバントとともに直接投与することで免疫応答を引き起こす。
◎新型コロナ治療薬ゼビュディの添付文書改訂へ
オミクロン株BA.2系統への投与は「他の治療薬が使用できない場合」に
この日の部会では、グラクソ・スミスクラインの新型コロナ治療薬・ゼビュディ点滴静注液500mg(一般名:ソトロビマブ(遺伝子組換え))の添付文書に、「オミクロン株(B.1.1.529/BA.2系統)については、本剤の有効性が減弱するおそれがあることから、他の治療薬が使用できない場合に本剤の投与を検討すること」を追記することが確認された。今後、添付文書を改訂する。
理由は、オミクロン株のBA.2系統に対して中和活性が低下することが示唆された(EC50(50%阻害濃度)及びEC90(90%阻害濃度) の平均値はそれぞれ野生型の15.7及び35.1倍)としている。