米バイデン政権 がん撲滅ムーンショット計画を再始動
公開日時 2022/02/09 04:49
米バイデン大統領は2月2日、ホワイトハウスで、がん撲滅計画ムーンショットプログラムを再始動すると発表した。今後25年でがんの死亡率を50%減少させ、患者や家族が、がんと共存する体験(がんアウトカム)を改善させるという目標を掲げている。バイデン大統領は2015年に子息を脳腫瘍で亡くしており、がん撲滅に特に熱心だという。
バイデン大統領は、今回のムーンショット計画において、その目標実現のため、民間企業部門、諸財団、学術研究所、医療供給者および全米国人にがん撲滅の意思を共有する幅広い協力を呼び掛けた。
具体的には、①科学コミュニティに対しては、がんと闘うために大胆な考えを出してほしい、②医療・公衆衛生コミュニティには、医療の行き渡らない地域の人々に最善の生活を送らせ、がんとともに生き、かつ、がんのアウトカムを改善させるように手を差し伸べてほしい、③民間企業部門には、データや知見をもっと共有し新規治療法や検査法を開発してほしい、かつ全米国人のベネフィットとなるツールを協力して開発してほしい、④がんとともに生きる患者や生存者、介護者および家族がんで誰かを失った人には、先に進むために彼らの考えや経験を共有して欲しい―とするもの。
◎PhRMA Stphen Uble理事長兼CEO「R&Dパイプラインには1300の治療法がある」
米国研究製薬工業協会(PhRMA)のStphen Uble理事長兼CEOは、米国のバイオ医薬品企業は多数の新規抗がん剤を開発してきたと述べたうえで、「過去30年で、がんによる死亡率は30%下降した。R&Dパイプラインには1300の治療法があるので、がん患者には希望をもてる理由がある」と話した。さらに、「科学は決してより前途有望なものではないが、成功裏に行くムーンショット計画を持てるので、我々は、その計画がもたらすイノベーションのエンジンを止めることは出来ない。そのことこそが、イノベーティブな薬剤の価格設定を行おうとする政府のいかなる計画にも反対する理由だ」と指摘し、議会で論議中の薬価設定問題にも言及した。
そのうえでStphen Uble理事長兼CEOは、「がんやその他の難病と闘う進歩を続けるイノベーションを進める一方で、患者の負担を軽減させるための解決策のために共に働こう」と呼びかけた。