薬食審第二部会 11月4日開催予定 オプジーボの胃がん1次治療など報告へ
公開日時 2021/10/21 20:00
厚生労働省の薬食審医薬品第二部会が11月4日に開催される。審議品目は、抗がん剤ハーセプチン注射用に唾液腺がんの適応を追加することなど2製品。PMDAの審査段階で承認して差し支えないとされ、部会では審議せずに報告のみで良いと判断された報告品目は6製品。この中に、がん免疫療法薬オプジーボ点滴静注に胃がんの1次治療と食道がんの術後補助療法を追加することや、がん免疫療法薬キイトルーダ点滴静注に食道がんの1次治療を追加することが含まれる。
審議品目、報告品目とも承認手続きが順調に進めば、11月中に正式承認されるとみられる。
【審議予定品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
▽ハーセプチン注射用60、同150(トラスツズマブ(遺伝子組み換え)、中外製薬):「唾液腺がん」を対象疾患とする新効能・新用量医薬品。希少疾病用医薬品。
厚労省から3月に唾液腺がんで希少疾病用医薬品に指定された際、予定効能・効果は、「HER2過剰発現が確認された治癒切除不能な進行・再発の唾液腺がん」とされた。
▽ハイヤスタ錠10mg(ツシジノスタット、HUYA Japan):「末梢性T細胞リンパ腫」を対象疾患とする新効能医薬品。希少疾病用医薬品。
ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)を阻害するベンズアミド系の経口薬。厚労省から単剤治療での末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)の適応で希少疾病用医薬品に指定されている。10月20日に再発又は難治性の成人T細胞白血病リンパ腫(ATLL)の適応で発売した。
【報告予定品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
報告品目は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階で承認して差し支えないとされ、部会では審議せず、報告のみでよいと判断されたもの。
▽ロイコボリン錠5mg(ホリナートカルシウム、ファイザー):「葉酸代謝拮抗剤の毒性軽減」を対象疾患とする新用量医薬品。
厚労省によると、プララトレキサート投与時の用法・用量を追加する。
▽キイトルーダ点滴静注100mg(ペムブロリズマブ(遺伝子組み換え)、MSD):「食道がん」を対象疾患とする新効能・新用量医薬品。
化学療法との併用で、根治切除不能な進行・再発の食道がんに対する1次治療を追加する。
同剤の食道がんに係る効能・効果は現在、「がん化学療法後に増悪したPD-L1陽性の根治切除不能な進行・再発の食道扁平上皮がん」となっている。単剤で使用できるものの、▽2次治療以降▽PD-L1陽性▽食道がんは主に扁平上皮がんと腺がんに大別されるが、このうち扁平上皮がんに限る――となっている。
MSDが今回の食道がんに係る効能追加を申請した際、シスプラチン及び5-FUの化学療法2剤と併用するものの、▽1次治療▽PD-L1の発現を問わない▽食道がん(扁平上皮がん、腺がん)――に対する効能追加になると説明していた。
▽5-FU注250mg、同1000mg(フルオロウラシル、協和キリン):「食道がん」を対象疾患とする新効能・新用量医薬品。公知申請。
この日の部会に報告されるキイトルーダの食道がん1次治療と併用するための効能追加となる。
▽オプジーボ点滴静注20mg、同100mg、同120mg、同240mg(ニボルマブ(遺伝子組換え)、小野薬品):「胃がん」及び「食道がん」を対象疾患とする新効能・新用量医薬品。
胃がんでは今回、化学療法との併用で、治癒切除不能な進行・再発胃がんの1次治療を追加する。食道がんでは術後補助療法を追加する。
胃がんに係る申請データのひとつである、日韓台を含む国際共同第3相試験「CheckMate-649試験」でのオプジーボと化学療法との併用療法群の患者は、オプジーボ 360mgとカペシタビンおよびオキサリプラチン(CapeOX)を3週間間隔で、またはオプジーボ240mgと5-フルオロウラシル、ロイコボリン、オキサリプラチン(FOLFOX)を2週間間隔で投与を受けた。
▽ローブレナ錠25mg、同100mg(ロルラチニブ、ファイザー):「非小細胞肺がん」を対象疾患とする新効能医薬品。
未治療のALK陽性非小細胞肺がん(NSCLC)の効能を追加する。現在はALK陽性NSCLCの2次治療を適応としており、今回、1次治療でも使用できるようにする。
▽サークリサ点滴静注100mg、同500mg(イサツキシマブ(遺伝子組換え)、サノフィ):「多発性骨髄腫」を対象疾患とする新用量医薬品。
今回、▽単剤療法▽ステロイド製剤デキサメタゾンとの2剤併用▽プロテアソーム阻害薬カルフィルゾミブ及びデキサメタゾンとの3剤併用――を追加する。現在は免疫調節薬ポマリドミド及びデキサメタゾンと併用して用いる。