アステラス製薬 ピーナッツアレルギー対象のDNAワクチンASP0892の開発中止 215億円の減損計上へ
公開日時 2021/06/18 04:51
アステラス製薬は6月17日、ピーナッツアレルギーを対象として臨床第1相試験段階にあるDNAワクチン「ASP0892」の開発中止を決定したと発表した。2本の臨床第1相試験を実施していたが、いずれも有効性の基準を満たすことができなかったため。これに伴って、2021年度第1 四半期に、無形資産の減損損失215億円を「その他の費用」として計上する予定としている。
同ワクチンは、ピーナッツアレルギー反応の緩和を目的として、安全性、忍容性及び免疫応答を確認する2本の第1相臨床試験を2016年から米国で実施していた。試験は18~55歳の成人31例と、12~17歳の青少年20例のピーナツアレルギー患者を対象に実施した。同社によると、試験結果では、顕著な臨床反応性や免疫、バイオマーカー反応性は認められなかった。忍容性は認められたが、有効性の基準を満たすことができなかったため、開発の中止に至ったとしている。
米国ではピーナッツアレルギーの患者が300万人いると推計されている。2016年には米国でファストトラック指定を取得しており、大型化が期待されていた。
なお、今回の減損は、2021年4月に公表した通期(2022年3月期)連結業績予想に織り込まれておらず、「次の決算で他の要素も含めて検討する」(同社広報部)としている。