MSD 9価HPVワクチン・シルガード9を発売 任意接種で使用
公開日時 2021/02/25 04:50
MSDは2月24日、子宮頸がんなどの予防に用いるヒトパピローマウイルス(HPV)の9つの型に対応したシルガード9水性懸濁筋注シリンジ(一般名:組換え沈降9価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチン(酵母由来))を発売した。9歳以上の女性を対象にした予防ワクチンで、現時点では任意接種で使用する。接種費用としてワクチンの費用と手技料がかかり、医療機関によってその価格は異なる。
シルガード9は薬価基準の適用外となる。費用負担のかからない定期接種化について、MSDは、「接種環境が整うことは重要と考えている」とし、「厚労省での議論を踏まえつつ、必要な対応をしていく」とコメントした。定期接種化の議論は年単位となる見通し。
シルガード9は、HPV6、11、16、18、31、33、45、52、58型の感染に起因する▽子宮頸がんとその前駆病変▽外陰上皮内腫瘍、腟上皮内腫瘍▽尖圭コンジローマ――の予防を効能・効果とする。9歳以上の女性に、1回0.5mLを合計3回、筋肉内に注射して用いる。通常、2回目は初回接種の2ヵ月後、3回目は6ヵ月後に同様の用法で接種する。1年以内に3回の接種を終了することが望ましいとしている。
シルガード9は、従来の沈降4価HPV様粒子ワクチンであるガーダシルに含まれる6、11、16、18の4つのHPV型に、新たに31、33、45、52、58の5つのHPV型が加わった9価HPVワクチン。アジュバントとしてアルミニウムヒドロキシホスフェイト硫酸塩を含む。
HPV16、18、31、33、45、52、58型は子宮頸がん、外陰がん、膣がん、肛門がんなどの原因になることが知られている。子宮頸がんに対するHPV型のカバー率は、4価HPVワクチンが約65%であるのに対し、シルガード9は約90%とされる。
■MSDのタトル社長「日本の女性の健康と公衆衛生の向上に寄与したい」
MSDのカイル・タトル社長は、「日本では毎年約1万人の女性が新たに子宮頸がんと診断され、約2900人が亡くなっている」とした上で、「このたび、既に80以上の国と地域で承認され、世界で広く使用されている9価HPVワクチンが日本においても接種可能となった。MSDは、世界水準の子宮頸がん予防の選択肢の提供を通して、日本の女性の健康と日本の公衆衛生の向上に寄与したいと考えている」とコメントした。