小林化工の自主回収で診療側・有澤委員「医薬品への信頼を根本的に揺るがす事態」 中医協
公開日時 2020/12/10 04:50
小林化工が製造販売元の経口抗真菌薬イトラコナゾールに通常量を超える睡眠薬が混入し、自主回収(クラスⅠ)に至っている問題をめぐり、12月9日の中医協薬価専門部会で診療側委員が苦言を呈す一幕があった。診療側の有澤賢二委員(日本薬剤師会常務理事)は、「医薬品への信頼を根本的に揺るがす事態であり、あわせて後発医薬品の使用推進を図ってきた薬局医療機関にとっては今後のさらなる推進に足かせになる」と苦言を呈した。厚労省側の対応を問われた厚労省医政局経済課の林俊宏課長は、「企業の不適切な医薬品の製造、品質管理が原因で、医薬品の回収事例がたびたび発生している。厚労省としても大変問題だと考えている」と応じた。
◎林経済課長「GE定着において課題になる問題だ」
林課長は、「一義的には製造管理、品質管理を製薬企業が実施するというのが重要だ」としたうえで、個別事案についてはPMDAが個別指導を行っていることなどを紹介した。
こうした問題については、「先発、後発問わず生じているが、とりわけジェネリックの定着ということにおいて、課題になってくる問題だと思っている」との見解を表明。厚労省としても、収載後5年間は安定供給を求め、問題を起こした事業者に対して供給体制を確認するなど対策を進めてきた。「医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議」では、原薬のダブルソース化、企業の自主点検の強化、さらには供給不足が起きた際の医療現場への情報発信についても徹底を求めていると、取り組みを進めている現状を説明した。そのうえで、「企業の製造管理、品質管理、供給体制に対する意識の向上と品質確保、安定確保に努めて参りたい」と述べた。