武田薬品 細胞医薬品の供給能力を向上 3プログラムが臨床段階
公開日時 2020/09/18 04:49
武田薬品は9月16日、細胞医薬品の製造能力を拡張するため、米国マサチューセッツ州ボストンの研究開発拠点内に研究開発用の細胞医薬品製造施設(24,000 平方メートル)を新設したことを発表した。新設施設ではエンド・ツー・エンドの研究開発を行い、当初はがん領域に重点を置き、他の疾患領域への拡大の可能性を探りながら、次世代細胞療法の開発に向けた取り組みをさらに加速するとしている。
武田薬品のがん治療エリアユニットの責任者クリス・アレンド氏は、「武田薬品は、世界でも指折りの科学者やイノベーターとの連携を通じて非常に特徴的ながん免疫療法のパイプラインを構築し、がんを根治できる可能性のある新たな創薬手法や作用機序の研究開発において飛躍的な進歩を遂げている」と述べている。
◎2プログラムが21年度に臨床試験に
武田薬品は、3つのがん領域の細胞療法プログラムが臨床段階にあり、さらに2プログラムが 2021年度に臨床試験に入る予定としている。新施設により、武田薬品の製造能力が速やかに向上し、複数の非常に特徴的な細胞療法プログラムを同時に進めることができるようになる」と説明している。
がん領域の細胞療法は、免疫細胞の遺伝子ががん細胞を認識して破壊することができるように遺伝子操作を加えた免疫療法の一種。細胞医薬品は、生きた細胞の操作を行うため、清浄度と一貫性のあるコンタミネーションコントロール(汚染管理)が維持できる、厳しい管理下にある環境で製造する必要がある。
次世代細胞療法は、武田薬品ががん領域において免疫系のリダイレクトに重点を置いて研究を進めている基盤技術の1つ。がん領域の細胞療法プラットフォームは、調製、製造、輸送、患者への投与に対しプロセスごとに満たすべき独自の要件を有している。先天性免疫を利用した、多様ながん免疫療法プログラムを有する武田薬品のパイプラインには、革新的な細胞療法や免疫関与プラットフォーム、先天性免疫の調節、新たな基盤となる免疫チェックポイントプラットフォーム、そして腫瘍溶解性ウイルスが含まれている。