田辺三菱20年度3月期決算 営業利益112.1%減 60億円の減損
公開日時 2020/05/14 04:50
三菱ケミカルホールディングスは5月13日、完全子会社化した田辺三菱製薬の2020年3月期決算で営業利益が前年同期比112.1%減の60億円の減損だったと発表した。売上高は前年同期比10.6%減の3798億円、親会社帰属の純利益は1億円(99.6%減)だった。連結子会社のメディカゴ社が季節性インフルエンザの効能取得を目指して開発を進めていた植物由来VLPワクチン(MT-2271)について米国で申請を取りやめ、約240億円の減損損失を計上したことが響いた。
国内の医療用医薬品売上高は前年同期比1.9%増の3043億円。免疫疾患治療薬のステラーラが108億円伸びて260億円売上げるなど、重点品目が伸長した。ただ、多発性硬化症治療薬・ジレニアの特許をめぐり、ノバルティスとの仲裁手続きが行われていることから一部ロイヤリティについては認識を行わず、440億円減となったことが影響した。
VLPワクチンについては、成人を対象とした第3相臨床試験で、季節性インフルエンザの有用性を検討したが、主要評価項目の成功基準を満たさなかった。高齢者を対象とした臨床試験では、対照薬の鶏卵ワクチンに対する非劣勢を示し、主要評価項目の成功基準を満たした。ただ、メディカゴ社が米FDAと協議を進めた結果、追加の臨床試験の実施を求められたため、米国での承認申請を行わないことを決定していた。同社は、現行の製剤よりもさらに有効性を向上させる改良を行うため、アジュバントを加えた季節性インフルエンザワクチンの開発について、新たに検討を開始したとしている。
【19年度連結業績(前年同期比) 20年度予想(前年同期比)】
売上高 3798億円 4247億円(10.6%減) 3835億円(1.0%増)
営業利益 ▲60億円 503億円(112.1%減) 170億円(―)
親会社帰属純利益 1億円 373億円(99.6%%減) 85億円(―)
【19年度主要製品国内売上高(前年同期実績) 20年度予想、億円】
レミケード 533 (588) 447
シンポニー 409 (374) 422
ステラーラ 260 (152) 328
テネリア 152 (152) 149
カナグル 88 (67) 91
カナリア 67 (74)93
レクサプロ 149 (140) 146
ルパフィン 67 (34) 102
イムセラ 42 (43) 41
ワクチン計 389 (373) 409
うち、インフルエンザ 126 (102) 122
うち、テトラビック 94 (85) 112
うち、ミールビック 59 (68) 64
うち、ジェービックV 51 (55) 53
うち、水痘ワクチン 49 (51) 48