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エーザイ・内藤景介執行役 「ソリューションプロバイダーとして認知症に貢献」 IHEPセミナー

公開日時 2019/10/01 03:52
エーザイの内藤景介執行役チーフデジタルオフィサー兼ディメンシアトータルインクルーシブエコシステム担当は9月30日、医療経済研究機構(IHEP)のセミナーで講演し、製薬産業の強みである“エビデンスづくり”を通じ、「健康・予防の質を担保し、医療費・介護費の節減に寄与することで、生活者から信頼される社会(エコシステム)形成を目指す」と語った。政府が認知症との共生・予防を施策の柱の一つに据えるなかで、医薬品だけでなく、予防などに重点的に取り組む必要性を強調。「ソリューションプロバイダーとして認知症に貢献したい」と意欲を語った。

◎認知機能のセルフチェック核に医療機関と自治体連携

内藤氏は、認知症患者が社会と共生するうえでも、自治体・医療機関と患者の間で、認知機能を把握する共通の指標や定期的な測定が必要との見解を表明した。同社は全国150以上の自治体などと協定を結ぶ。認知機能チェックのほか、アンケートやフレイルチェックなどをまとめた“健康チェック”を活用。認知機能低下が認められれば医療機関につなげ、さらに自治体施策への干渉につなげるなど、「認知機能のチェックを経時的に続けながら社会に参加するというサイクルを回している。個々での気づきは共通な指標、定期的な測定が必要になる」として、認知機能セルフチェックを日常的に行ってもらうための環境整備の重要性を強調した。

そのうえで、
同社がオーストラリア企業と、8月に国内での独占的開発・商業化に向けた契約を結んだ、認知機能をセルフチェックできるデジタルツール「Cogstate Brief Battery(CBB)」を紹介した。ツールは、15分程度の操作で認知機能スコアが測定できる簡便性が特徴。“はい”と“いいえ”しかなく、医療従事者がいなくても測定が可能で、豊富な使用実態に裏打ちされたエビデンスがあるという。こうした特徴を有することで、自治体でのイベントをはじめ、様々な場所で継続して活用することも期待できると説明。「体重計のような認知機能における役割を果たすことで共通言語になり得るものだ」と期待感を示した。

◎データの利活用には個人の納得感も アナログとの融合を


同社は、“データドリブン・ビジネスモデル”の構築をトッププライオリティーに据える。データの活用により、健康・未病・早期の気づき・治療・ケアの5段階を一気通貫にすることが可能になるとの考えだ。一方で、この肝ともいえる、チェックツールについては、高齢者の活用を見据え、「デジタル技術を排してアナログでどこまでできるか追及した」とも語った。

内藤氏は、Society5.0の実現で起きる社会変革として、医療だけでなく、未病やケアなどの一次から三次予防への期待が高まると説明。2025年の公的保険外市場は健康増進で12.5兆円、生活支援で20.6兆円まで増加する成長市場になるとの推計を紹介した。

新たなソリューション展開にRWDの利活用も重視されるなか、質の重要性を強調。個人情報に紐づくような、要配慮個人情報の活用には本人の同意も不可欠となる。そのため、個人から提供されたデータがどのように利活用されるかをイメージしてもらい、本人の納得感を得た上で同意してもらう必要があるとの考えを示した。内藤氏は、「デジタルはこれまでやってきたことの効率化ができる。新しいことにはアナログの信頼関係、データを使っているようねという信頼感の形成が欠かせない」として、デジタルとアナログを融合させる必要性にも言及した。
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