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アステラス 理研のaAVC技術、がん領域での独占権取得 新たな免疫療法薬の可能性も

公開日時 2019/09/04 03:50
アステラス製薬は9月2日、がん領域を対象疾患として、理化学研究所(理研)が有する人工アジュバントベクター細胞(aAVC)作製のための基盤技術(aAVC技術)を利用した細胞製剤の研究開発、商業化について、全世界における独占的ライセンス契約を締結したと発表した。aAVCを開発した理研の藤井眞一郎・科技ハブ産連本部創薬・医療技術基盤プログラム副プログラムディレクターは、「aAVC製剤はこれまでの免疫療法製剤とは作用機序が異なる独自の細胞製剤で、新たな薬効を有する免疫療法薬として期待できる」とコメントしている。

アステラスは契約に基づき、理研に対して、契約一時金10億円を支払うとともに、研究開発・商業化の進捗に応じたマイルストンと売上に応じたロイヤリティを支払う可能性がある。理研は非営利目的の研究や、今回の契約対象のがん抗原以外の抗原について、aAVC製剤などを研究開発・商業化する権利を留保する。

両者はこれまで、aAVC技術を利用した細胞製剤を共同研究してきた。結果として、アステラスにより複数のプログラムが進行中という。最も進んでいるのは、急性骨髄性白血病患者などで高発現しているがん抗原のWT1を搭載したaAVC製剤である「ASP7517」(開発コード)で、急性骨髄性白血病と骨髄異形成症候群を対象にフェーズ1/2試験の段階にある。

がん免疫療法では、生体の防御機構である免疫機能を活性化してがんを攻撃する。免疫機能には、初期段階でがんを非特異的に攻撃する「自然免疫」と、がんを特異的に攻撃する「獲得免疫」がある。

従来のがん免疫療法薬の多くは、自然免疫もしくは獲得免疫のいずれかを活性化することを介して作用する。一方で、ヒト細胞に糖脂質とがん抗原を搭載した改変ヒト細胞から成るaAVC製剤では、糖脂質がナチュラルキラーT細胞を介して自然免疫を活性化し、がん抗原が抗原特異的T細胞を誘導して獲得免疫を活性化することで、双方の免疫機能が活性化され効果的にがんを攻撃することができるという。抗原特異的メモリーT細胞の誘導により、長期間にわたる抗腫瘍効果も期待されるとしている。
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