協和キリン 新規の高リン血症薬テナパノールを導入、米社から 日本で独占開発・販売へ
公開日時 2017/12/08 03:50
協和発酵キリンはこのほど、米国アーデリックス社が創製した新規の高リン血症治療薬テナパノール(一般名)について、日本での独占的な開発・販売権を取得する契約を締結したと発表した。経口投与による選択的な腸管Na+/H交換輸送体(NHE3)阻害薬で、ファーストイン・クラスになり得る開発品という。協和キリンはネスプなどの腎領域の製品を販売しており、テナパノールを加えることで同領域の製品ラインナップを強化する。
協和キリンは契約に基づき、契約一時金として3000万ドル、今後の開発ステージの進捗及び販売開始に伴うマイルストーンを最大1.3億ドル支払う。また、契約期間中、協和キリンは10台後半%の販売ロイヤルティを支払う。
アーデリックス社は現在、米国で透析施行中の末期腎不全に伴う高リン血症を対象としたフェーズ3試験を行っている。協和キリンは今後の具体的な開発スケジュールを明らかにしていないが、高リン血症を含む心腎疾患領域を対象に国内開発を進めるとしている。
テナパノールは経口投与で吸収されにくいとの特徴がある。高リン血症に対して特徴的な作用機序であるNHE3阻害を通じて、食事によるナトリウムの吸収を抑え、結果として細胞内のプロトン濃度を上昇させる。このプロトン濃度の上昇は、消化管のリン吸収を制御する細胞間接着を強固にし、リンの取り込みを抑制する。
アーデリックスがこれまでに実施した非臨床もしくは臨床試験では、他のイオンに対して同様の現象は認められておらず、同剤の作用機序がリンに選択的であると考えられている。