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ヒルドイド問題が中医協総会で議論に 「美容目的避け、適正使用推進を」

公開日時 2017/11/02 03:50

美容目的で処方が拡大したことなどが問題視されているヒルドイドなどの医療用ヘパリン類似物質製剤について11月1日、中医協総会で議論となった。すでに日本皮膚科学会、製造販売元のマルホは適正使用を喚起する事態となっている。支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、ヒルドイドなどの外来診療での処方に際し、他の外皮用薬薬もしくは抗ヒスタミン薬と同時に処方されていない場合は保険適用から除外し、OTCを活用することを求めた。これに対し、皮膚科専門医である診療側の松本吉郎委員(日本医師会常任理事)は、「全身性のアトピー性皮膚炎、魚鱗癬などで大量の保湿剤が必要な患者もいる。不利益を生じない対策をお願いしたい」と述べるなど、診療・支払各側から処方制限については慎重な声があがった。


◎皮膚乾燥症へのヒルドイド処方 薬剤費推計は年間93億円


支払側の幸野委員は、健保連の調査報告を引き合いに、ヘパリン類似物質製剤の処方が2015~16年に女性で男性の5倍以上伸長していることなどから「女性雑誌やウエブで美容として有効であるということが伝えられて伸びたということ。美容目的だということは容易に想像できる」と指摘した。健保連は、「ヘパリン類似物質のみの処方であり、かつ皮膚科系の傷病名が皮膚乾燥症のみ」のレセプトによる処方額は約5億円とし、これを基にした全国の薬剤費は年間93億円程度と推計している。英・仏・米で保険収載されていないことなどを踏まえ、外来診療で、他の外皮用薬薬もしくは抗ヒスタミン薬と同時に処方されていない場合は、保険適用から除外することを提言している。

この日、厚労省が提示した資料でも、皮膚乾燥症等に処方されるヒルドイドソフト軟膏は多くが25gチューブ4本程度以下だが、一度に10本以上処方されている実態が浮き彫りとなった。


◎診療側・松本委員「保湿剤適正使用でステロイドの減薬も」



これに対し、診療側の松本委員は、「皮膚乾燥症は、皮膚が乾燥するだけでなく、皮膚のバリア機能が障害される純然たる疾患だ」と説明し、放置すれば増悪する可能性も指摘した。また、「保湿剤を併用することでステロイドの外用薬を減らすこともできる。保湿剤を適切に使用することが大事だ」と主張。顔の治療でステロイドを使わない場合や、ステロイドからの切り替えで保湿剤のみを投与されている状況も説明し、理解を求めた。学会や製薬企業からの注意喚起がなされている中で、「しばらく様子を見るべきだ」と述べた。

診療側の安部好弘委員(日本薬剤師会常務理事)は、「本来薬剤が必要な患者に妨げられるような仕組みになっては本末転倒だ。美容目的を避けながら適正使用に資する形にしていただきたい」と述べた。

支払側の吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)も、適正使用がなされていない「背景を明確にして対応策を検討する必要がある。安直に使用制限という話ではない」と述べた。


◎日本皮膚科学会「処方制限に反対」

なお、日本皮膚科学会は10月31日付で、会員に対し、再度ヒルドイドなどの適正処方を求め、適用外で処方する場合には自費診療とするなどの対応することを求めた。健保連の政策提言については、「真摯に受け止めるが、保湿剤による治療を必要とする患者に大きな不利益を生じかねないため、処方制限には反対する」として、厚労相、日本医師会長、健保連会長に要望書を提出するとしている。

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