武田薬品 投資ファンドと泌尿器科、婦人科疾患用薬の開発会社設立 腹圧性尿失禁薬TAK-233を導出
公開日時 2016/03/16 03:52
武田薬品は3月15日、投資ファンドの米フレージャー・ヘルスケア・パートナーズと泌尿器科及び婦人科系疾患領域の医薬品開発に取り組む新会社Outpost Medicine社を設立し、腹圧性尿失禁用薬TAK-233を新会社に導出すると発表した。TAK-233はフェーズ1段階にある。武田薬品は、▽がん▽消化器系疾患領域▽中枢神経系疾患領域――を研究開発の重点領域にしている。重点領域以外の化合物は、自社で開発せず、今回のようなスキームで開発を進めていくことも有力な手段のひとつにする。
武田薬品のチーフ メディカル&サイエンティフィック オフィサーのアンドリュー・プランプ氏は、研究開発の重点領域以外の化合物について、「開発を継続し、価値を創出する他の方策を探すことも重要」とし、「Outpost社の設立は、必要な患者に新しい治療薬となり得る化合物の開発を進めるにあたり、画期的な提携になる」とコメントしている。
Outpost社は、フレージャー社を中心に計4社の投資ファンドから、4100万ドルの資金を調達する。武田薬品は出資せず、TAK-233(=OP-233)の全世界での独占的開発販売権の供与という形で関与する。TAK-233に関する経済条件は開示していない。
Outpost社の会長には、武田薬品で15年6月までチーフ メディカル&サイエンティフィック オフィサーだった山田忠孝氏が就く。山田氏は武田薬品退社後、フレージャー社のベンチャーパートナーとして活躍していたという。山田氏は、「武田薬品とOutpost社を設立できたことは大変うれしく思う」とコメントしている。
腹圧性尿失禁は咳、くしゃみ、笑う、運動する、重い物を持ち上げるなどの身体の動きや活動時に、弱くなった尿道括約筋や骨盤底筋に身体的な圧が加わることによって起きる。腹圧性尿失禁は不随意収縮によって起こり、過活動膀胱で知られている切迫性尿失禁とは異なる。米国だけでも1800万人以上の成人が罹患しているが、山田氏は、「アンメットメディカルニーズが高いにも関わらず、米国では腹圧性尿疾患治療薬が承認されていないのが現実」と説明している。