非小細胞肺がん EGFR陽性患者へのファーストライン 6割がEGFR標的薬
公開日時 2014/05/08 03:52
ヘルスケアコンサルタント企業のサイニクス社と米国Kantar Healthはこのほど、日本市場における肺がん治療の最新動向をまとめた。このうち、肺がんの1割弱を占める非小細胞肺がんEGFR陽性患者のファーストライン治療において、13年6月にこの適応を取得したタルセバ(一般名:エルロチニブ塩酸塩、中外製薬)が、約6か月後の時点で患者シェアが1割となっていることがわかった。既存のEGFRチロシンキナーゼ阻害薬であるイレッサ(ゲフィチニブ、アストラゼネカ)は5割超のシェアを確保しており、合わせて6割あまりの患者がEGFRをターゲットとした治療を行っていた。
この調査は、両社が13年12月に各がん種について専門医約60人からヒアリングして、治療実施状況を患者数ベースでまとめたもの。
EGFRを標的とした分子標的薬では、イレッサ、タルセバに次ぐ3剤目としてジオトリフ(アファチニブ、NBI)が5月7日に発売された。調査の編集責任者であるニーシャ・スヴァルナ氏は、ファーストラインを巡る今後の処方動向について、「現在、アファチニブとイレッサを直接比較するLUX-Lung7試験、およびアファチニブとタルセバを比較するLUX-Lung8試験が進行中で、これらの試験結果を受けてアファチニブの位置付けが決まっていくだろう」との見方を示している。
◎分子標的薬後のセカンドライン 選択は分散
非小細胞肺がん患者のうちファーストラインでイレッサまたはタルセバの分子標的薬を使用した場合のセカンドライン治療の実態についても分析したところ、アリムタとカルボプラチンが24%、ドセタキセルが14.3%、アバスチン、の治療レジメンは12%で選択されていた。スヴァルナ氏は「ファーストラインでは分子標的薬を用いた治療が浸透しているが、セカンドラインの治療は定まっておらず、医師が選択に悩んでいる状況だ」としている。
一方、非小細胞肺がんのバイオマーカー検査の実施率については、EGFR変異が82%、ALK変異の有無が67%に上った。臨床でバイオマーカー検査が浸透している状況がうかがえるが、スヴァルナ氏は「(検査実施率は)年々上昇傾向にあるが、依然として100%には達していない」と指摘している。
調査結果は「Treatment Architecture Japan 2013」にまとめられており、編集責任者がニーシャ・スヴァルナ氏、編集者がコーリー・ブレイス氏。 両社は5 月15 日に特別セミナー「オンコロジー領域における売上予測」と題したセミナーを開催する。詳細はhttp://www.synix.co.jp/まで。