武田薬品 次期主力品候補の経口血糖降下薬fasiglifamの開発中止 安全性の懸念で
公開日時 2013/12/27 15:15
武田薬品は12月27日、自社創製品であり、次期主力品候補のひとつに位置付けていた新規経口血糖降下薬のfasiglifam(開発コード:TAK-875)について、肝臓における安全性に懸念があるとして開発を中止すると発表した。問題となった評価項目や数値などの詳細は開示されていない。fasiglifamは膵島細胞に発現するGタンパク質共役受容体の1つである「GPR40」の作動薬で、同社は14年度中の承認申請、15年度中の上市を見込んでいた。
同社によると、今回の決定はfasiglifamのフェーズ3(P3)における複数の評価委員会からの勧告や推奨を受けたものではなく、同社がそれら委員会との連携のもと、全ての臨床試験から得られたデータを注意深く検討した結果としている。そして、「fasiglifamの投与によりもたらされる患者さんの利益が、潜在するリスクを上回ることはないとの結論に達した。このためfasiglifamの開発を自主的に中止することを決めた」としている。
同社は治験担当医への情報提供を開始するとともに、治験参加者には「薬剤を変更する前に、まずは主治医の先生にご相談ください」と呼びかけている。
GRP40作動薬は血糖値に応じてインスリン分泌を促進し、高血糖を改善する作用を有する。fasiglifamは13年5月に国内フェーズ3が報告されるなど、GPR40作動薬の中で最も開発が先行していた。国内では、同機序薬として日本たばこが「JTT851」を開発中で、現在P2段階にある。