【World Topics】運転手も実は呑んでいる
公開日時 2013/09/30 03:50
飲酒運転による事故が深刻な問題となっているアメリカだが、現行の連邦法では血中アルコール濃度0.08までは運転してもよい(飲酒運転とはみなさない)ことになっている。高速道路交通安全委員会(The National Highway Transportation Safety Board)は、目下、これを0.05まで引き下げるよう提言している。(医療ジャーナリスト 西村由美子)
だが、公共の交通手段に乏しい文字通り「車社会」のアメリカでは飲みに行くにも車が要るのが実態だ。そこで提唱されているのが、グループの「その日の運転手」役を決めておくこと。この運転手役はdesignated driver(指定運転手)と呼ばれる。
しかし、フロリダ州で、市中のバーで飲んだ帰りのグループ1,000人を対象に実施された調査によれば(聞き取り調査および呼気検査)、指定運転手役の65%はまったく飲んでいなかったものの(血中アルコール濃度ゼロ)、17%は0.02%以下の血中アルコール濃度を示し、18%は0.05%以上の血中アルコール濃度であった。
実は、問題は指定運転手についての認識である。キャンペーンを展開している行政側は,当然ながら「指定運転手になったらその日はアルコールを飲まない」ことを期待しているのであるが、実際には、市民は「グループの中で一番アルコール摂取が少ない人が運転する」ことと受けとめている傾向がはっきりした。
この結果から、研究者はキャンペーンは「運転手役はいっさい飲まないように」というストレートなメッセージを打ち出すべきではないかとの問題を提起している。