NICE最終ガンダンス案 抗がん剤クリゾチニブを推奨せず
公開日時 2013/08/22 03:50
英国立医療技術評価機構(NICE)は8月15日、米ファイザー社のALK(未分化リンパ腫キナーゼ)陽性進行非小細胞肺がん(NSCLC)治療薬Xalkori(一般名:クリゾチニブ、日本名:ザーコリ)を、英国民保健サービス(NHS)において使用を推奨しないとする最終ガイダンス案を発表した。NICEは、翌16日から、同ガイダンス案について、意見募集を開始した。
Xalkoriは、米国、日本などではXalkoriのコンパニオン診断薬である米Abbott Molecular社のALK融合遺伝子検出診断キットであるVysis ALK Break Apart FISH ProbeKitと同時承認され、個別化医療の先端を走るモデルとして期待されているだけに、今回のNICEの保険適用下での非推奨は関係者に波紋を投げかけそうだ。
ファイザー社は、評価委員会に対してNHSに同剤を提供する場合の割引価格を組み入れた患者アクセススキームや同剤の費用対効果分析を提出している。NICEのAndrew Dillon事務局長は、「評価委員会は、クリゾチニブがALK陽性NSCLCに有効であることは理解した」と指摘。その上で、「割引価格が適用されても、同剤がNHSのリソースを使用する上では、費用対効果があるとは思えない」と結論付けた。
NICEは、クリゾチニブがドセタキセルと比較し、無病生存期間(PFS)を5.1か月間(中間値)延長したが、全生存期間(OS)の延長は不明確であると指摘した。
評価委員会は、クリゾチニブの1QALY(質調整生存年)あたり経費は、ドセタキセルとの比較を基礎にすると10万ポンド以上となり、ベストサポーティブケア(BST)との比較では1QALYあたり5万200ポンド以上に上ると結論付けた。いずれも、通常NHSにおいて薬剤使用が認められる閾値の3万ポンドを超えている。
同剤の薬価(取得コスト)は、200mg(あるいは250mg)カプセル60個1箱(30日分)が4689ポンド。疾患増悪時点までの治療と仮定すると、治療1コースの経費は3万7512~4万6890ポンド。増悪後も治療を行うと仮定すると5万1579ポンドになる。ファイザー社と英保健省(DOH)は、割引価格を含めた患者アクセススキームについてすでに合意している。割引価格は非公開である。