PhRMA 偽造医薬品撲滅に決意示す
公開日時 2012/06/13 04:00
米国研究製薬工業協会(PhRMA)のJohn Castellani理事長兼CEOは6月7日、「世界偽造品撲滅の日」(World Anti-Counterfeiting Day:WACD)を期し、偽造医薬品の米国への流入を防止するための医薬品業界の努力への決意を示すとともに政府などには法的整備など一層の対策強化を求める声明を発表した。
同理事長は、「偽造医薬品が流通することは数百万人という患者の生命が危機にさらされることだ」と懸念を示しながら、「幸い米国では、クローズドで慎重に規制されたサプライチェーンがあるので、外国からの大量の偽造医薬品の流入を防いでいる」と米国での「水際」が堅固なことを強調した。
しかし、Castellani理事長は、「時に、我々の防衛線も万全でないこともある」と指摘、食品医薬品局(FDA)が、最近発表した、ADHD(注意欠陥多動性障害)治療薬および一部抗がん剤の偽造品がインターネットで入手できるとの実例を挙げ、これらへの対応の必要性を訴え、6月6日に連邦議会下院司法委員会で、新規法案「偽造医薬品罰則強化法」(The Counterfeit Drug Penalty Enhancement Act)の通過を歓迎、今後の成案に期待感を示した。同法案では、現行法では、偽造医薬品を販売した場合の収監期間は平均3年だが、新法では最長20年と罰則が強化される。また、業界にとっては、サプライチェーンにおける倉庫から製品を盗み、それを改造、偽造品にするなどの事例も大きな問題となっていることから、司法委員会は同日、サプライチェーンにおけるそのような犯罪を取り締まり、罰則を強化するための「安全投薬法」(SAFE Doses Act)も通過させた。
同理事長は、「法執行当局、政府、製薬業界が今まで以上に危険な偽造医薬品犯罪に対して一致団結して戦わなければならない」と決意を示すとともに、5月18日―19日に米ワシントン郊外のキャンプデービッドで開催されたG8(主要8か国首脳会議)において、知的財産権に関する共同宣言で偽造医薬品対策について言及したことを評価した。
WACDは、WIPO(世界知的所有権機関)、インターポール(国際刑事警察機構)知的犯罪部門、その他世界各国の知的所有権関連機関などで構成する世界偽造品撲滅グループ(Global Anti-Counterfeiting Group)が1998年に制定した。この日は、偽造医薬品だけでなく、特許侵害をする偽造品すべてについて、当該製品の製造・流通の防止などを目的として啓蒙・啓発のために制定された。