鎮痛剤に投薬制限
公開日時 2012/05/23 04:00
米国では、過去10年間、毎年約15,000人が鎮痛剤等の過剰摂取で死亡している。この数字はコカインやヘロイン等の麻薬中毒による死亡者数を上回って高い。(医療ジャーナリスト・西村由美子)
CDCのレポートによれば、
http://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/mm6043a4.htm?s_cid=mm6043a4_w
2008年に米国内でおきた薬物による死亡事故3万6450件のうち2万0044件が処方薬による事故で、そのうちの73.8%、1万4800件が鎮痛剤に起因する事故であった。
また、2009年の統計によれば、鎮痛剤事故での救急外来受診は120万件で、麻薬事故の100万件を上回って多く、2004年に比して98.4%も増加している。 鎮痛剤に費やされる薬剤費は急増しており、2001年の総額44億ドルから2011年には85億ドルになっている。
CDCは、特にティーンエイジャーが「『ハイ』になるために鎮痛剤を服用する」ケースが増加していることから「薬物の不適切使用は『公衆衛生』上の課題」と主張。米国の12歳以上人口の20人に1人は鎮痛剤を不適切に多用していると警告している。
慢性的な痛みの緩和に鎮痛剤を継続投与するという治療方法は、ほんの15年前にはアメリカでも決して一般的な治療法ではなかったという歴史的事実を考えるとき、無視できない数の死者までを出している鎮痛剤をめぐる今日の状況は確かに21世紀の疫学上の課題と言えよう。CDCは、最近、全米の医師に対し鎮痛剤の処方に慎重を期すようにとの通達を出した。