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2011年の国内売上ランキング ファイザーがトップに 武田薬品は2位 IMS

公開日時 2012/02/20 04:02

IMSジャパンは2月17日、2011年1~12月の国内医療用医薬品市場の動向を発表し、ファイザーが国内売上高でトップにたったことが明らかになった。ファイザーの国内売上(薬価ベース、販促会社レベル)は5757億6600万円、前年比10.7%増で、2位の武田薬品に162億円の差をつけた。帯状疱疹後神経痛治療薬リリカ(売上313億9100万円、前年比643.9%増)や小児用肺炎球菌ワクチンのプレベナー(同309億8900万円、224.2%増)の大幅な売上げアップが国内トップに導いた。(資料はこちら

また、製品別では、MSDのDPP-4阻害薬ジャヌビアが売上526億9700万円、前年比330.7%の大幅増となり、糖尿病治療薬の中で売上トップとなった。なお、MSDの製品群の中でもジャヌビアは売上トップ製品となった。

◎国内市場9兆円突破 外資系の好調目立つ

11年の国内医療用医薬品の総売上高は前年比6.9%増の9兆4815億7800万円となり、9兆円を突破した。市場別では100床以上の病院市場が6.0%増の3兆7017億4200万円、100床未満の開業医市場が6.6%増の2兆2940億700万円、主に調剤薬局を指すその他市場が8.0%増の3兆4858億3000万円――で、3市場すべてで6%以上のプラス成長となった。

企業別の売上上位20社をみると、ファイザーに次いで、前年トップだった武田薬品(売上5595億3900万円、前年比4.2%増)が2位。3位以下は第一三共(4801億4200万円、2.2%増)、田辺三菱製薬(4042億4400万円、3.0%増)、MSD(3997億9400万円、15.9%増)――と続いた。第一三共と田辺三菱は順位に変動はない。

ランキングの変動を見てみると、2桁増収のMSDはジャヌビアの売上げ大幅増によって前年8位から5位に躍進。GSK(3197億8500万円、29.2%増)も、同社内の売上トップ製品となった子宮頸がんワクチンのサーバリックス(517億5200万円、553.0%増)などで、前年12位から9位にランクアップした。

日本ベーリンガーインゲルハイム(2017億6100万円、14.9%増)も11年3月に発売した抗凝固薬プラザキサが91億6600万円を売り上げるなどして、前年18位から16位にランクアップ。日本イーライリリー(1669億6700万円、21.6%増)も主力の統合失調症治療薬ジプレキサ(508億7200万円、8.8%増)や抗がん剤アリムタ(370億4900万円、13.6%増)が堅調に売上を伸ばし、トップ20位入りを果たした。

また、順位に変動はなかったものの売上10位のサノフィ・アベンティス(3153億5000万円、10.6%増)は、抗血栓症薬プラビックス(871億7900万円、22.9%増や抗アレルギー薬アレグラ(629億9300万円、20.8%増)の最主力2製品の大幅増収で、サノフィ全体の2ケタ増収を達成した。

売上上位20社の中で内資系企業も多くが増収となったものの、外資系企業の好調ぶりが目立つ結果となった。なお、内資系企業では、貧血治療薬ネスプ(646億7700万円、37.5%増)を持つ協和発酵キリン(2208億5900万円、10.3%増)が前年15位から14位にランクアップしたのみ。また、売上20位の小野薬品(1636億4900万円、13.6%増)は順位に変動はなかったものの、DPP-4阻害薬グラクティブ(276億8800万円、290.6%増)によって、内資系で最も高い成長率を示した。

◎最も成長率高い糖尿病治療薬市場 各社のDPP-4阻害薬が存在感

次に薬効別にみると、薬効トップはRA系作用薬(6526億8200万円、5.1%増)で、これに抗腫瘍薬(6252億600万円、6.0%増)、脂質調整剤及び動脈硬化用剤(4476億8500万円、4.1%増)――などが続いた。上位10薬効でみると、新たにトップ10入りしたのは、アルツハイマー型認知症(AD)治療薬などのカテゴリーの「その他の中枢神経系用剤」(2758億6800万円、15.2%増)の1薬効のみで、前年8位のCa拮抗剤と入れ替わった。2桁成長した薬効は、前述の「その他の中枢神経系用剤」と糖尿病治療薬(3834億2200万円、16.7%増)の2つ。マイナス成長は全身性抗菌剤(3898億6700万円、0.1%減)の1薬効だけだった。

次に注目の薬効ごとに見てみる。薬効領域トップのRA系作用薬では、ARB単剤の売上減をARBベースの配合剤が補う形となった。特に武田薬品は、ARBブロプレスとCCBアムロジピンとの配合剤ユニシア(165億6200万円、721.0%増)と、ブロプレスと低用量の利尿薬ヒドロクロロチアジドとの配合剤エカード(145億6300万円、58.9%増)が、それぞれRA系作用薬領域の売上ランク7位、8位に入り、降圧配合剤の中で売上1位、2位を獲得した。降圧配合剤の売上3位はノバルティスのARBディオバンとアムロジピンとの配合剤エックスフォージ(138億9800万円、549.9%増)、同4位は第一三共のARBオルメテックとCCBカルブロックとの配合剤レザルタス(126億4800万円、369.5%増)だった。

上位10薬効で最も高い成長率だった糖尿病治療薬は、前述の通り薬効内トップが交代し、DPP-4阻害薬ジャヌビアが前年9位から一気に1位となった。前年1位の武田薬品のTZD薬アクトス(415億6000万円、23.6%減)は2ケタ減で、11年6月の後発品初参入や膀胱がんリスクの議論が影響したとみられる。ジャヌビア以外のDPP-4阻害薬も成長著しく、同阻害薬の中の売上順位は、ジャヌビアに次いで、小野薬品のグラクティブ(276億8800万円、290.6%増)、武田薬品のネシーナ(104億6800万円、884.0%増)、ノバルティスのエクア(84億8500万円、515.6%増)――の順だった。

◎AD治療薬市場 新薬群はメマリー以外苦戦

薬効領域でトップ10入りしたAD治療薬では、11年11月末に後発品が初参入したエーザイのアリセプト(1442億1500万円、14.9%増)は2ケタ増収を達成。高齢化社会に伴う患者増に加え、10年度薬価改定で新薬創出加算を取得して薬価維持されたことが要因だ。アリセプトは99年の発売以来、唯一のAD治療薬だったが、11年に複数の新薬が上市された。最も好調だったのは、同年6月に上市したアリセプトと機序が異なる第一三共のメマリー(65億3400万円)だった。そのほかのAD治療薬はアリセプトと同様の機序で、同年3月上市のレミニール(武田)は22億1700万円、同年7月上市の小野薬品のリバスタッチは7億6100万円、ノバルティスのイクセロンは6億500万円――だった。

売上6000億円を突破した抗腫瘍薬では、薬効内トップは前年同様に中外製薬のアバスチン(683億9600万円、11.5%増)だった。また、アバスチンのほか、武田薬品のベクティビックス(179億6400万円、223.8%増)や同ベルケイド(武田、125億4200万円、126.7%増)といった分子標的薬は成長率が高く、抗腫瘍薬市場拡大のけん引役となった。

制酸剤、鼓腸及び潰瘍治療薬では、薬効内トップの武田薬品のPPIタケプロン(846億900万円、9.5%増)が好調だった一方で、2位のエーザイのPPIパリエット(764億2300万円、0.0%増)、3位のアステラスのH2ブロッカーのガスター(442億1800万円、9.8%減)、4位のAZのオメプラール(397億4300万円、5.3%減)――と2位以下の売上上位製品は苦戦した。なお、11年9月に発売したAZと第一三共がコ・プロしているPPIネキシウムの売上は今回開示されていないが、今後の動向が注目される。

そのほか、喘息及びCOPD治療薬は薬効内トップのGSKのアドエア(464億5900万円、9.8%増)、2位のMSDのシングレア(459億9600万円、9.8%増)、3位の杏林製薬のキプレス(419億8300万円、17.9%増)の売上上位製品が市場をけん引した。また10年1月に上市したAZとアステラスがコ・プロしているシムビコート(208億5400万円、113.8%増)も好調だった。

 

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