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塩野義・手代木社長 クレストール国内営業 病院領域の浸透に課題

公開日時 2011/11/01 04:00

塩野義製薬は10月31日、2012年3月期第2四半期(4-9月)決算を発表した。手代木功社長は同日、大阪本社内で行った決算会見で、国内営業について戦略3品目の1つで、最主力品の高脂血症治療薬クレストールについて病院領域では「まだやりきれていない」と述べ、課題を指摘した。もう1つのARBイルベタンともども売上高は25%を越える2桁増だったものの、計画値には未達だった。

同社の国内医療用薬売上高は戦略品の伸びに支えられて前年同期4.8%増の787億円。同社はその約4割を占める戦略8製品に営業を重点特化しており、その合計売上高は26.3%増の343億円だが、計画値の356億円を下回った。これは戦略8製品の中で特に重点を置く3製品の中のクレストール、イルベタンも未達だったことも影響した。

手代木社長は、当初の計画値が「アグレッシブ」であったとして、未達であるものの「国内営業は比較的満足のいくエリアに来ている」とした。ただ一方で「まだまだやれると思う」とも述べた。

その点、本誌の質問に対し、クレストールについては病院領域での5mg錠の展開が不十分との認識を示した。2.5mg錠が売上の多くを占めるが、高血圧や動脈硬化など基礎疾患を有している患者で十分なLDLコントロールをするには5mg錠投与が有効で、心血管イベントの減少にもつながるとして、その点の浸透が「まだやりきれていない」と課題を指摘した。その上で「スタチンマーケットがほぼフラットの中で25%の成長があるというのは、まだまだやれると自負しているところだ」と述べた。

価格のあり方については、イルベサルタン含め市場全体が伸び悩み、競合が激化している中でも、両製品とも価値は高いとして「製品価値に応じた価格設定がされてしかるべき。私どもとしては卸、医療機関と話しあいをさせていただく中で、価値に見合った価格にしていただきたいと思っている。そのため価格競争力では末端はしんどいところはあるかもしれないが、私どもは正しいことをしている」と述べ、価格競争とは距離を置く姿勢を強調した。

全体の業績では、国内営業は堅調に推移したものの、米国事業でのリベートや返品支払いの算定方法の見直しを行ったことで売上高がマイナスとなったことが影響し減収。この影響で通期予想を下方修正し、増収予想から減少予想となった。

【連結業績(前年同期比)通期予想(前年同期比)】
 売上高1240億000万円(13.5%減)2690億円(4.7%減)
 営業利益182億3900万円(5.1%減)460億円(1.9%減)
 経常利益184億2900万円(4.1%増)440億円(2.6%減)
 純利益82億0300万円(19.5%増)270億円(34.8%増)
 
【国内売上高(前年同期実績)通期予想、億円】
 クレストール172(137)366
 イルベタン43(33)97
 サインバルタ28(9)61
 オキシコンチン45(48)99
 フィニバックス22(18)46
 ディフェリン17(15)36
 ピレスパ16(13)34
 ラピアクタ0(0)14
 (以上戦略品)
 フロモックス98(101)209
 リンデロン等外用48(50)95
 クラリチン32(31)72
 フルマリン35(39)64
 ロイヤリティー収入343(348)700
 うちクレストール323(328)673
 

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