第一三共は10月31日、2012年３月期第２四半期決算（４－９月）を発表し、国内の医療用医薬品事業の売上高は2009億円で前年同期比3.5％減だった。アルツハイマー型認知症治療薬メマリーやPPIネキシウムといった新薬群などが業績に貢献したものの、▽抗血小板薬パナルジン▽消炎鎮痛薬モービック▽慢性腎不全用薬クレメジン――の販売移管による減収分などをカバーできなかった。また、国内のARBオルメテックの売上も前年同期比９億円の減収となった。ARB関連の配合剤市場の成長に伴ってARB単剤市場が縮小していることが主因だが、新薬創出加算の登場によって、最も競争の激しいARBが厳しい値下げ圧力にさらされている可能性もありそうだ。

同社広報部は国内のオルメテックの減収について、「ARB単剤市場全体の縮小によるものだが、他社のARB単剤よりは、その減少幅は最も小さいと思う」とコメントし、縮小傾向のARB単剤市場の中でオルメテックは順調にシェアを拡大させていると説明した。なお、同社のCa拮抗薬カルブロックは同系統のアムロジピン後発品の影響などで前年同期比８億円の減収となったが、オルメテックとカルブロックの主成分同士による配合剤レザルタスは同41億円の増収だった。

◎新薬群の売上　６月発売のメマリー39億円、９月発売のネキシウム26億円

日本の売上高は2407億円（前年同期比7.4％減）。内訳は、医療用医薬品売上が95％以上を占める「国内医薬」が2063億円（5.0％減）、主力品特許切れの影響を受けた「輸出医薬」が103億円（48.7％減）、スイッチOTCのロキソニンＳなどが伸長した「ヘルスケア（OTC事業）」が224億円（6.7％増）――だった。

このうち国内医薬では、今年６月に新発売したメマリーが39億円、９月に新発売したネキシウムが26億円などと新薬群が好調。メマリーは単剤処方と併用での使用の割合がほぼ半分ずつという。しかし、販売移管による減収分計158億円（パナルジンは10年10月１日付でサノフィに移管、モービックは11年１月１日付にNBIに移管、クレメジンは11年４月１日付で田辺三菱に移管）などを吸収できなかった。なお、長期収載品７成分と後発品で構成する「第一三共エスファ類」は48億円の売上だった。

第一三共の連結業績は、国内医薬の減収や、円高による海外売上の目減り（約190億円）、ランバクシーラボラトリーズの売上減などによって減収・２ケタ減益となった。

〔連結業績（前年同期比） 通期予想（前年同期比）〕
売上高　　4560億4200円（8.6％減） 9300億円（3.9％減）
営業利益　621億9200万円（31.0％減） 1000億円（18.1％減）
経常利益　663億4500万円（28.4％減） 900億円（31.7％減）
純利益　　370億4500万円（29.0％減） 500億円（28.7％減）

〔グローバル製品売上高（前期実績）通期予想（前年実績）〕
オルメサルタン　　1238 （1216） 2700 （2415）
レボフロキサシン　264 （339） 530 （691）
プラバスタチン　　202 （237） 380 （449）
プラスグレル　　45 （18） - （52）

〔国内売上高（前期実績）通期予想（前年実績）、億円〕
オルメテック　409 (418) 930 (823)
レザルタス　60 (19) 170 (47)
カルブロック　64 (72) 150 (140)
ロキソニン　301 (269) 580 (542)
クラビット　　168 (153) 380 (324)
メバロチン　　174 (203) 320 (381)
アーチスト　　124 (120) 230 (237)
オムニパーク　119 (130) 230 (250)
ユリーフ　　　54 (49) 110 (101)
イナビル　　3 (-) 90 (90)
メマリー　　39 (-) - (-)
ネキシウム　　26 (-) - (-)
ワクチン類　　99 （64） - (178)
第一三共エスファ類　　48 (-) - (46)