【ERSリポート】飲酒と喘息リスクとの関連 適度なアルコール摂取者は喘息のリスクが低い
公開日時 2011/10/07 06:00
適度にアルコールを摂取する人は喘息のリスクが低い可能性が、双子を対象としたデンマークの研究で明らかになった。9月24~28日までオランダ、アムステルダムで開催中の欧州呼吸器学会(ERS)のポスターセッションで、コペンハーゲン大Bispebjerg病院の研究グループが25日報告した。
同国のDanish Twin Registryのデータを基に追跡調査した結果わかったもの。1994年と2002年の2回にわたり、12~41歳までの双子に多方面に渡る質問表調査を実施した。平均年齢27.4歳、男性44.9%、平均BMI22.3、喫煙率34.0%などの特性があった。
94年の調査で喘息の病歴がなかった1万9349人(男性:8701人、女性:1万648人)のうち、02年の調査で838人(4.3%)が喘息を発症していた。被験者をアルコールの摂取量により5つのグループに分類し、喘息発症リスクを調べた結果、週に1~6杯アルコールを摂取する被験者は最もリスクが低いことがわかった。一方、リスクが最も高かったのは、アルコールを全く、もしくは滅多に摂取しない被験者で、次いで1ヶ月に1~3杯飲酒する被験者と、1日4杯以上飲酒するヘビードリンカーも高リスクだった(1杯はビール小瓶1本分として換算)。
ロジスティック回帰分析では、アルコール摂取量は喘息発症の有意な予測因子であることがわかったが(p=0.02)、これは主に、全く、または滅多に摂取しない被験者での大幅なリスク増加によるものであった。性別と年齢、喫煙、BMI、教育レベルの調整後のオッズ比は、週に1~6杯飲酒する被験者を1とし、全くまたは滅多に飲酒しない被験者群が1.46(95% CI:1.17-1.82、p=0.001)、1日4杯以上飲酒する被験者群は1.26(95% CI:0.63-2.50, p=0.514)、1ヶ月に1~3杯飲酒する被験者群1.17(95% CI:0.98-1.41、p=0.083)、1日1~3杯飲酒する被験者群1.07(95% CI:0.76-1.49, p=0.709)だった。
◎女性と高BMIも喘息リスクの増加因子に
飲酒以外の発症リスクでは、女性と高BMIが喘息リスク増加の有意な関連因子とされた。喫煙には有意な関連性は見られなかった。
これらの結果から研究グループは、適度な飲酒は喘息発達に対して予防効果があるかも知れないと結論づけた。一方、ヘビードリンカーは喘息リスクが高いものの、統計的有意差が認められなかったことについて、今後更なる検討が必要であるとまとめた。