サノフィ・アベンティス 制吐剤アンゼメットの販売を一部の国で中止
公開日時 2011/02/21 04:00
サノフィ・アベンティスは同社が販売しているがん化学療法後あるいは術後の悪心・嘔吐に使用される制吐剤・アンゼメット(一般名:メシル酸ドラセトロン)を一部の国で販売中止する方針を固めた。がん化学療法後の悪心・嘔吐の予防・治療目的で投与された患者の一部で心血管リスクの上昇が報告されているため。発売中止となる国については現在公表されていないが、5カ国程度と見られている。
アンゼメットに関してはFDAが以前から注射剤でQT間隔延長が起こる可能性が示唆されるとしていたが、新規のデータから心調律異常である多形性心室頻拍の発現リスクを増加させ、場合によっては致死性となる可能性があることが明らかになった。特に基礎疾患として心疾患を有する患者や心拍数または調律の既存疾患を有する患者はハイリスクとされる。
一方、術後の悪心・嘔吐の予防・治療では、より低用量の使用ということもあり、心血管イベントのリスクの可能性は低いとされる。
◎発売中止は、がん化学療法のみ適応となっている国が対象
FDAは昨年12月にこうした知見に基づき、がん化学療法でのアンゼメットの注射剤使用停止を勧告した。今回の発売中止はこの一連の流れに基づくものとされる。対象となる5カ国は今のところ具体的には公表されていないが、がん化学療法のみが適応になっている国が対象。
なお、アンゼメットには錠剤もあり、こちらはがん化学療法による悪心・嘔吐で用いても注射剤ほどのリスクはないとされているが、最新データに基づき、現在はより強い警告がラベリングされている。