適正使用勧告後の重篤低血糖ゼロに DPP-4阻害薬シタグリプチンとSU剤併用で
公開日時 2010/12/07 04:01
関西電力病院の清野裕院長(写真右)は12月6日、MSDが東京都内で開催したジャヌビア錠(一般名:シタグリプチン酸塩水和物)発売1周年記念プレスセミナーで講演し、4月に日本糖尿病協会「インクレチンとSU薬の適正使用に関する委員会」が行ったインクレチンとSU(スルホニルウレア)薬の適正使用勧告後、問題となった重篤な低血糖をきたした患者報告数は急減し、7月にはゼロ(7月16日現在)になったことを明らかにした。
4月の勧告は、発売した昨年12月以降、SU薬にDPP-4阻害薬シタグリプチンを追加投与した症例から重篤な低血糖による意識障害を起こすケースが報告されたことを踏まえて対策とした出されたもの。SU薬の減量が望ましいとしていた。清野氏が示した「シタグリプチン酸塩水和物市販直後調査結果」によると、4月まで月ごとに報告例が増えて計64例(うち昏睡を伴うもの19例)あったのが、勧告後、5月には9例(うち昏睡2例)、6月5例(昏睡例なし)、7月にはゼロになった。
同氏は、勧告により必要以上にSU剤が使用されていた状況が是正され、適正に使用する意識が徹底されたことを強調した。同席した多摩センタークリニックみらいの宮川高一院長(写真左)も同様の認識を示し、勧告した用量でも「ほとんどの症例で血糖コントロールができた」と説明した。もし、勧告が示した用量以上のSU剤の使用が必要なケースでは、専門医とのコンサルテーションを受けながら使用することが必要だとした。
◎併用にメリット 多摩センタークリニックみらい宮川院長
さらに宮川院長は、他剤との併用にも触れチアゾリジン系薬剤(TZD)との併用については「TZDを増量すると体重増加、浮腫などの問題を生ずるが、増量を考慮する時、ジャヌビアを併用すると体重増を防止できる」と指摘。ビグアナイド系薬剤(BG)との併用では、「BGは増量すると消化器症状が強くなる。BGを1500mgから2250mgに増量するよりはジャヌビア併用の方が使いやすい」と述べ、いずれの併用においても十分な効果があることを説明した。