エーザイ 新しい認知症薬臨床開発着手 抗体で原因タンパク分解・除去
公開日時 2010/09/03 04:01
エーザイは9月2日、新しいアルツハイマー型認知症の治療薬のフェーズ1を米国で開始したと発表した。モノクローナル抗体で、原因とされるアミロイド毒性凝集体に結合して無毒化し、脳内から除去するとされ、疾患そのものの進行を止める可能性が期待される。米国で15~16年ごろの承認申請を目指す。
開発コードは「BAN2401」(注射剤)。07年にスウェーデンのバイオアークティック社から、全世界での研究・開発・製造・販売の権利を獲得した。フェーズ1は、80人以上の軽度・中等度の患者で安全用量の範囲を決定する。合わせて、アルツハイマー型認知症のバイオマーカーに対する影響を評価する。国際共同治験を行うかどうかは明言していないが、この結果を踏まえ、今後の開発方針を判断する。
この抗体がターゲットとするのは、βアミロイドタンパク(Aβ)の凝集過程変化における中間体のAβプロトフィブリル。これが神経毒とされ、アルツハイマー型認知症を促すとされていることから、「BAN2401」をAβプロトフィブリルに特異的に結合させることで、分解・除去できると考えられている。
抗体によるアルツハイマー型認知症薬の開発では、米のイーライリリーが、抗Aβ抗体のソラネズマブのフェーズ3を日本を含む国際共同治験の形で進めている。